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水菜は「栄養価が低い」? 実は好バランスの緑黄色野菜 相性が良い食材は
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教えてくれた人:和漢 歩実
シャキシャキとした歯ごたえでクセのない味わいの水菜は、生でサラダとしても、また鍋料理の具材としても欠かせない野菜の一つ。ハウス栽培もされているため、店頭で通年手に入りますが、旬は冬です。およそ90%が水分であることから、栄養価は低いと思われがちですが、実は栄養たっぷり。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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冬の京野菜の一つ 現在は全国的に人気の野菜
水菜は、アブラナ科アブラナ属の野菜で日本固有種とされ、京野菜の一つです。寒さに強く、京都では「水菜が並び始めると冬本番」といわれ、野菜が不足しがちな冬に欠かせない野菜として古くから重宝されてきました。関東地方ではあまりなじみがなく、流通も少なかったのですが、現在は茨城県や埼玉県、群馬県などでも生産されるようになり、全国的に人気の野菜となっています。
水菜という名前は、畑の作物と作物の間に水を引き入れて育てたことが由来しているといわれています。また、京都を中心に栽培されていたことから「京菜(きょうな)」や「京みず菜」とも。細かい茎が多く分かれ、葉の数が数百枚になることから「千筋菜(せんすじな)」や「千本菜」という名もあります。
クセがなく淡泊な味なので、どんな料理にも合わせやすい食材です。サラダや鍋の具材はもちろん、炒め物や煮物など、生食から加熱料理まで幅広く使えます。価格も比較的安定しているので、家計にも優しい野菜といえるでしょう。
実はさまざまな栄養素を含んでいる水菜
およそ90%が水分の水菜は、100グラムあたり23キロカロリーと熱量が低めです。これは水菜に多く含まれる栄養素がビタミンやミネラルであるため。水分が多く、細長い見た目から栄養価が低いイメージがありますが、実はさまざまな栄養素を含んでいます。主な栄養価と期待できる効果は次の通りです。
○βカロテン:皮膚や粘膜を強くし、免疫機能を高める効果
○ビタミンC:コラーゲンの生成に不可欠。美肌効果
○カルシウム:骨を丈夫にする。骨粗しょう症を予防する効果
○鉄:貧血予防に
○食物繊維:水溶性と不溶性をともにバランス良く含む。前者は血糖値やコレステロール値の上昇の抑制が、後者は便秘予防が期待できる
上記より水菜はビタミン、ミネラル、食物繊維とバランスの取れた緑黄色野菜といえるでしょう。
水菜と相性が良い食材と食べ方は
水菜はβカロテンを多く含むため、吸収率を上げる油脂と相性が良い野菜です。適量の油を使った料理が良いでしょう。
サラダなど生食の場合でも、ノンオイルではないドレッシングをかけていただくとβカロテンをより多く摂取できます。さらに、たんぱく質を主成分とする大豆が原料の油揚げや厚揚げとの組み合わせもおすすめです。
減量が気になる方は、高たんぱく質で低脂質のささみやエビなどと一緒にいただくことで、栄養バランスが良い低エネルギーの食事になります。骨の健康が気になる方は、ビタミンDを多く含むキノコ類と一緒に食べると良いでしょう。ビタミンDは水菜に含まれているカルシウムの吸収を促します。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾