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ブロッコリーは茹でずにレンチンすべき理由 すごすぎる栄養パワーを効率良く摂る方法

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

栄養豊富なブロッコリー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
栄養豊富なブロッコリー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 輸入ものも多いブロッコリーは通年で出回りますが、本来は涼しい気候を好みます。そのため、国産ものは冬から春にかけてがおいしい季節です。また、ブロッコリーの房にある小さな緑色の部分は一つひとつが花のつぼみ。収穫せずに放っておくと、黄色い花がたくさん咲きます。栄養豊富な野菜として人気のブロッコリーは、一体何がすごいのでしょうか? 栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ブロッコリーの原産地とは 日本に伝来したのはいつ?

 ブロッコリーは、アブラナ科アブラナ属の植物でキャベツの仲間。イタリアを中心とする地域が原産地とされ、古代ローマ時代には食べられていたとみられています。ヨーロッパに普及したのは17世紀頃といわれており、そもそも野生だったキャベツが変異してブロッコリーになったようです。

 日本に渡来したのは明治時代ですが、当時はあまり普及しなかったようです。同時期に入ってきたカリフラワーの方が人気は上だったとか。急速に普及したのは1980年代になってからで、そのきっかけは緑黄色野菜の栄養価が注目を浴びるようなったことといわれています。

 クセがなく、洋食以外にも和食の和え物など、幅広い料理に合うブロッコリー。現在は日本の食卓にも欠かせない存在になりました。

注目の栄養とは 効率良くいただくコツ

ブロッコリーには注目の栄養成分も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ブロッコリーには注目の栄養成分も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ブロッコリーには、βカロテンとビタミンCが豊富に含まれています。どちらもこれからの季節、風邪とインフルエンザの予防という観点から見逃せません。必要時に体内でビタミンAに変換されるβカロテンは、皮膚や粘膜を強くしてウイルスの侵入を防ぐ効果が、ビタミンCはウイルスに対する抵抗力を高める効果が期待できるといわれています。

 またブロッコリーの注目成分といえば、抗酸化作用と解毒作用があるとされるスルフォラファン。米国国立がん研究所(NCI)が1990年代にスタートさせた研究では、がん予防が期待できる野菜の一つとして挙げられました。

 この他、止血のビタミンと呼ばれるビタミンK、貧血予防に必要な鉄、赤血球の生産に欠かせない葉酸、余分な塩分を排出するカリウム、腸内環境を整える食物繊維なども豊富です。

 ちなみに、同様に通年で出回るキャベツと比較すると、ブロッコリーに含まれるビタミンCは3.5倍、βカロテンにおいては18倍。またビタミンKは2.7倍、鉄は4.3倍、葉酸は2.8倍、カリウムは2.3倍、食物繊維は2.8倍です。

 水溶性であるビタミンC、カリウム、葉酸(ビタミンB群)などの栄養素を損失なくいただくには、茹でるよりも電子レンジ加熱がおすすめです。また脂溶性であるβカロテンとビタミンKは、油と一緒に食べることでそれぞれの吸収率が上がります。茹でずにレンジでチンしたブロッコリーに、好みのドレッシングをかけて食べると良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾