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鍋料理がおいしくなる食材を入れるタイミング フタはいつする? 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
寒い日が続きます。食卓に登場頻度が上がる料理といえば、鍋料理でしょう。寄せ鍋やキムチ鍋、カレー鍋やトマト鍋など、さまざまな味付けが楽しめて、具材を入れて煮込めばできあがるため手軽なのもうれしいところ。簡単だからこそ、具材の順番やフタのタイミングなどにこだわると、おいしい仕上がりになるそうです。そのコツを、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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栄養バランスの良い鍋料理 地域によって具材はさまざま
鍋料理は、具材によって栄養バランスの良い一食になります。魚介類や肉にはたんぱく質と脂質が、野菜やシイタケなどのキノコ類にはビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれています。
しかも野菜は加熱しているのでかさが減り、たくさんの量を食べられるのがメリット。最後のシメにごはんやうどん、麺類を加えると糖質(炭水化物)も摂取できます。
現在のように、ひとつの鍋から料理をつつき食べられるようになったのは、諸説ありますが江戸時代から明治時代といわれています。具材は郷土色豊かで、海の幸、山の幸などさまざま。北海道の石狩鍋や茨城県のアンコウ鍋、広島県のカキの土手鍋、福岡県の水炊き鍋など、その地の気候風土や文化生活と密接につながり、現代も受け継がれています。
押さえておきたい具材の順番やタイミング
家で作る際に、冷蔵庫に残っている少しくたびれた食材を使えるエコな点も鍋料理の良さでしょう。ご自宅にある具材で作る場合は、具材を入れるタイミングや順番、フタをするタイミングのポイントを押さえておくと良いでしょう。
まずは、具材を入れる順番について。基本は火が通りにくいものから入れていきますが、だしを加熱する前か後かのタイミングもあります。
野菜でいえば、育つ環境が土よりも上か下かが判断ポイントに。上で育つ野菜はだしが温まってから(以下、湯)、下で育つ野菜は温まる前から(以下、水)入れます。
たとえば、小松菜やキャベツなどの葉菜類やキノコ類の具材は湯になってから。ただし白菜は、葉の部分は湯から、下の芯の部分は水から入れましょう。ニンジンや大根、レンコンなどの根菜類は水から入れます。
鶏肉や魚介類は、鍋料理の場合はだしが取れるため、水からのほうが良いでしょう。湯からゆでるとなかまで火が通る前に表面や周囲が煮崩れを起こしてしまうからです。ただし、カキは硬くなってしまうため、おいしくいただくためには最後に入れましょう。
一般的な具材の順番でまとめると、肉や魚介類、土の下に育つ根菜類、葉菜類でも硬い白菜の芯の部分は水から入れて加熱します。温まってきたら、豆腐やシイタケなどのキノコ類を加えましょう。キノコからもだしが取れますが、加熱しすぎると食感や風味が損なわれてしまうので湯になってから入れましょう。最後に土の上に育つ野菜、葉菜類です。
意外に忘れがち フタも大事
鍋料理で、フタは大切な役割を担うのでお忘れなく。フタをするタイミングは、食材を入れて加熱するときです。水から具材を入れたらフタをして加熱します。だしが沸いて次の具材を入れる際に、再びフタをしましょう。フタをすることで火の通りが早くなり、食材の香りや水分を逃しません。
野菜への火の通りを早くしたい場合は、根菜類をスライサーなどで薄い輪切りにしましょう。特にレンコンや大根、ニンジンなどはあっという間に火が通り、味もしみて時短になります。レンコンは切り口もきれいですよ。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾