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「とろ火」や「中弱火」はどんな火加減? 料理の基礎知識を元家庭科教師が解説【お料理1年生のためのレシピ用語】

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

鍋を弱火にかける(写真はイメージ)【写真:写真AC】
鍋を弱火にかける(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 この春、新生活で自炊に挑戦する人もいるかと思います。レシピ本を見て、知っているような簡単な用語でも実際にやってみると具体的な工程がわからないこともあるかもしれません。たとえば火加減の「とろ火」や「弱火」。目安はなんなのでしょうか? 料理初心者に限らず、お料理好きな方も知っているようで意外に知らないレシピ用語。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。

 ◇ ◇ ◇

「とろ火」と「弱火」 火加減の判断は鍋底への火の当たり方

 レシピに火加減について記されていることは多いでしょう。火力の強さは文字通り「弱→中→強」の順というのはわかりますが、「とろ火」もあり、その火加減の表現に戸惑うかもしれません。

 ここでは、ガスコンロを使用した場合の火加減ということで説明します。IH調理器の場合は、温度調節の設定が各メーカーの商品によって異なるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。

 とろ火とは、その名前の響き通り、最小の火加減でこれ以上弱くすると火が消えてしまうくらいの火力を指します。煮豆などを沸騰させずにゆっくりと時間をかけて加熱したり、おかゆなどを作ったりする際に用いられる火加減です。長時間、火にかけることが多いので「とろ火にかける」と言われます。

「弱火」は、とろ火より火力は強いですが、鍋やフライパンの底に火が当たらない状態を言います。シチューやスープなど煮込み料理などで用いられる火加減です。中の煮汁がコトコトと波打つ程度が目安。

「中弱火」「中火」「強火」の違いとは

色鮮やかに仕上げたい野菜炒めなどは強い火加減で手早く(写真はイメージ)【写真:写真AC】
色鮮やかに仕上げたい野菜炒めなどは強い火加減で手早く(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 レシピに「中弱火」と記述されていて迷ったことはありませんか。明確な定義はありませんが、弱火と中火の間くらいの火加減を言います。弱火よりは強く、中火よりは弱いイメージです。

 次に「中火」とは、炎の先端が鍋底に少し当たる程度を指す基本の火加減です。煮物の場合、煮汁がふつふつと煮立っている程度で、鍋の中の具材が少し動きます。レシピなどで、とくに火加減が書かれていない場合は中火で調理して問題ありません。

 最後に「強火」とは、鍋底全体に火が当たっている状態を言います。強火でのよくある誤解は、鍋底から火がはみ出す程度と思われていることです。実際には鍋底からはみ出しません。鍋の中がグラグラと煮立ち、具材も動く状態です。フライパンでの炒め物の際は、強火を使い短時間で調理することが多いでしょう。

 以上より、火加減の順番で言うと「とろ火→弱火→中弱火→中火→強火」の順になります。火加減は、おいしい料理を作るポイント。たとえば、食材の形を崩さずに中まで火を通したい、中まで味を染み込ませたい場合は弱火が向きます。野菜炒めなど熱の通りが早く、生のままでも食べることができる食材を色鮮やかに仕上げたい場合は強火が良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾