Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

「ゆでこぼす」と「ゆでる」の違いは 料理の基本のキを元家庭科教師が解説【お料理1年生のためのレシピ用語】

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

たっぷりの熱湯で麺をゆでる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
たっぷりの熱湯で麺をゆでる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 この春、新生活で自炊に挑戦する人もいるかと思います。レシピ本を見ていると、似ているようで微妙に違う言葉を目にし、意味がわからないこともあるでしょう。たとえば「ゆでこぼす」。「ゆでる」こととは思うのですが、何が違うのでしょうか。こぼす意味とは? 料理初心者に限らず、お料理好きな方人も意外に知っているようで知らないレシピ用語。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。

 ◇ ◇ ◇

そもそも食材を「ゆでる」とは

「ゆでる」とは、たっぷりの量の熱湯で食材に火を通すことを言います。彩りや食感を良くするために塩を使うことがありますが、味付けをしない調理方法です。主に豆や野菜、卵、パスタなどの麺類の加熱に用いられます。生では食べられないものを消化しやすく食べられるように、またおいしく食べやすくすることが目的です。

 食材によって湯からゆでたほうが良いもの、水からゆでたほうが良いものがあります。野菜でいうと、ブロッコリーやアスパラガスなど、土より上で育つものは、沸騰してからゆでると、食感が良く色鮮やかに。一方で、ニンジンやジャガイモなど土より下で育つ根菜類は、湯からゆでると煮崩れの原因になるので、水からゆでると良いでしょう。火がまんべんなく通り、やわらかい仕上がりになります。

「ゆでこぼす」とは 「ゆでる」こととの違い

「ゆでこぼす」とは、食材をゆでた後に、ゆで汁を捨てることです。アクやぬめり、渋味や苦味などの不要な成分を除くことが目的。ゆでこぼしをすることで、味がなじみやすく、仕上がりがおいしくなります。「ゆでる」と同様、根菜類は水からゆでた後に、青菜など土から上で育つ野菜の場合は沸騰してからゆでた後に行いましょう。

 食材と一緒に塩や酢、などを一緒に加えアクを抜くための作業を「湯がく」とも言います。食材に火が通ったらザルなどに上げて、ゆで汁を捨てます。食材によってゆで時間は異なりますが、葉菜類はさっと30秒~1分程度が多く、根菜類は串などを刺して確認しましょう。

「ゆでこぼす」の「こぼす」は、食材をザルに上げる際に、ゆでた湯を一緒に鍋から捨てるという意味合いから「こぼす」となったようです。

ゆでこぼしする代表的な食材とは

タケノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タケノコ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 とくにゴボウや里芋、コンニャクなどは、ゆでこぼしてから調理すると、それぞれの味が調和しておいしく作ることができます。

 また、春が旬のタケノコはアクが強いため、調理する際は、ぬかを加えてゆでこぼすと良いでしょう。結石の原因ともいわれるシュウ酸を含むホウレン草も、ゆでこぼしてから調理すると、食材に味が染み込みやすくなります。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾