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お菓子版の御朱印帳 老舗和菓子本店でしかもらえない「御菓印」って何?
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寺社を参拝した証としてもらえる「御朱印」を集めている人も多いでしょう。和菓子業界でも、それに倣った「御菓印(ごかいん)」が今年1月からスタート。老舗和菓子本店のみでしかもらえない、趣向を凝らした「御菓印」は、さっそくお菓子好きたちの注目を集めています。全国の老舗和菓子店が参加しているこの試みについて、全国銘産菓子工業協同組合(全国銘菓)に伺いました。
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各店舗とも本店のみの取り扱い
ここ数年、「和菓子離れ」が話題になっています。全日本菓子協会(ANKA)によると、2022年の1世帯(2人以上)あたりの菓子支出金額は、和生菓子が1万979円に対し、洋生菓子は2万2607円と1万円以上の差が。生活に身近なコンビニエンスストアなどでも、和菓子と洋菓子では販売面積の広さに大きな差が生じています。
そうしたなかで「和菓子に親しんでいただきたい」と語るのは、「全国銘菓(全国銘産菓子工業協同組合)」。原則として3代または創業60年以上の歴史を持ち、志の高い経営理念を掲げながら、それぞれの地域で認められている全国83店の菓子店で構成されています。
その全国銘菓が和菓子の活性化に向けて、今年1月から「御菓印」という新たなサービスをスタートさせました。「御菓印」とは、全国の老舗和菓子店が趣向を凝らして作った御朱印のこと。全国銘菓加盟店舗のうち41店舗が参加を表明しています。それぞれの本店のみで一定額以上の商品購入時に配布、または有料での販売。全国銘菓オリジナルの「御菓印帳」は、同じく参加加盟店で取り扱われています。
御菓印は、それぞれの老舗和菓子店が趣向を凝らしました。個性あふれるデザインに注目です。たとえば、「鳩サブレー」で有名な神奈川県・鎌倉の豊島屋は、台紙に鶴岡八幡宮のハトがモチーフになった「八」の字が並んでいます。さらに、大きな印の左下には「鳩サブレー」の絵柄が配されており、歴史と伝統を感じることができるでしょう。
また、宝石のような寒天和菓子がSNSで話題になったこともある、山形県の乃し梅本舗佐藤屋は、8代目店主・佐藤慎太郎さんのメッセージが入っています。ユニークな御菓印の数々は、和菓子ファンはもちろんのこと、コレクター魂を刺激しそうです。
「昨年から準備を始めてきた」というこの取り組み。なぜ参加加盟店の本店のみでの取り扱いとなったのでしょうか。それには、老舗和菓子店の「本店ならではのサービスや趣を楽しんでほしい」という思いがあるそうです。
「『全国銘菓』からスタートした形ではありますが、1人でも多くのお客様に和菓子に親しんでいただきたい。お店をめぐるきっかけになればという思いが根底にあります。今後は、組合員の店舗以外にも、たくさんの菓子店に参加いただけるようにしたいという意向もあります」
現在のところ、店舗改装や御菓印の準備がまだ整っていないなどの理由で配布を開始していない加盟店もあるそうですが、参加店舗は随時増えていく予定です。御菓印帳片手に全国各地の和菓子店めぐり、新しい楽しみになりそうですね。
(Hint-Pot編集部)