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予約必須の“エモい羊羹” 老舗和菓子店の11代目に聞いたこだわりとは
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日本の四季や伝統、地域の特色が詰まった和菓子は、日本が世界に誇る食文化の一つです。職人が魂を込めて作った和菓子はとても美しく、食べるのがもったいない気持ちになりますよね。山形県上山市にある「杵屋本店」で誕生した創作羊羹「星合いの空」は、青く透き通ったグラデーションが涼しげで美しく、ツイッター上で注目を集めています。創作羊羹にかけた思いやこだわりについて、投稿者である杵屋本店の11代目・菅野裕太取締役にお話を伺いました。
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伝統的なお茶菓子では使わない味を使用して自由に創作
杵屋本店の創作羊羹「星合いの空」は、今年から新たに始めた“創作羊羹を作る企画”の一環で誕生した商品。手がけたのは、同店勤続30年のベテラン和菓子職人、大類(おおるい)さんです。
大類さんは4月頃から、夏に向けて七夕をイメージした試作品作りをスタートしました。試作の段階からスタッフが感動するほど美しく、それから細やかな修正と試作を続けること約3か月。創作羊羹は「星合いの空」と名付けられ、7月から販売を開始しました。ツイッターへ写真を投稿したところ話題を呼び、通販分が早々に完売。大人気商品となり、現在は予約販売のみ受け付けています。
羊羹は、一般的には小豆で作ったあんを型に流し込み、寒天などで固めた和菓子で、色味はわずかに赤みを帯びた濃い茶色のイメージがあります。しかし、「星合いの空」は涼しげな青いグラデーションが特徴的。どのようにしてその色味を出したのか、また、どんな味がするのかとても気になります。
「今回は創作羊羹というテーマなので、自由にやろうということになり、伝統的なお茶菓子には使わないソーダ味を使いました。甘味が強くなりすぎないように、どのような砂糖を使うかなど、糖度の調整に苦心しました」と菅野さんは言います。
「星合いの空」で特にこだわったのは味と見た目。工程としては、牛乳羹・ソーダ味の紫と青の錦玉羹・食用銀箔と透明な錦玉羹の4層を下から順番に流しているそうです。
「流すとはいえ、1層ずつ固まらないと次が流せないので手間がかかります。さらに紫と青のソーダ味錦玉羹の層を流す時は、固まり切らないうちに混ぜ合わせないと美しいグラデーションが出せません。この層が、商品のキモですね。その後、銀箔と透明の錦玉羹を混ぜて星くずを作り、全体を冷やし固めます」
こだわりがギュッと詰まった美しい創作羊羹は、星が輝く夏の夜を彷彿とさせる一品になりました。
「めっちゃエモいので一度見てほしい」とメッセージを添えて「星合いの空」の写真をツイッター上に公開すると、何と10万件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には、「すご! めっちゃ買いたい!」「涼しげでいいですねぇ~ きれいな色です」「The涼」「永遠に飾っておきたいような美しさ。和菓子はやはり芸術品ですね」などの声が上がり、多くの人が「星合いの空」に魅了されています。