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「水にさらす」とは? 「冷水に取る」との違い【お料理1年生のためのレシピ用語】
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教えてくれた人:和漢 歩実
この春、新生活で自炊に挑戦する方もいるかと思います。レシピ本を見て、知っているような簡単な言葉でも、実際にやってみると具体的な工程がわからないこともあるかもしれません。たとえば「水にさらす」。水に浸けることとは思うのですが、なぜ必要で、どのくらいの時間浸ければ良いのでしょうか? また、「冷水に取る」との違いとは? 料理初心者に限らず、お料理好きな方も知っているようで意外に知らないレシピ用語。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。
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水にさらす目的は?
「水にさらす」とは、調理の下ごしらえのひとつです。食材をたっぷりの水に浸してしばらく置くことで、「水に放す」などとも言います。目的は、食材のアクや辛味などを抜くこと。また、レバーなどの血抜きといった目的で、水や酢水、塩水などに浸けることも。食べやすく、おいしくするためのひと手間です。
切ったナスやレンコン、ささがきにしたゴボウ、ジャガイモやサツマイモなどを水にさらすのは、アク抜きのほか変色防止にも。ほとんどのアクは水溶性のため、さらすと取ることが可能です。アクを抜かずに調理すると、途中でアクが溶け出し味が悪くなるといわれています。また、スライスしたタマネギの辛味抜きにも。千切りしたキャベツ、やや元気のないホウレン草などの葉物はシャキッとよみがえり、塩蔵ワカメの塩抜きにもなります。大きめのボウルを用意し、さらす食材がかぶるくらいの水を入れましょう。
ただし、長い間水にさらせば良いということではありません。さらす時間が長いと、うま味成分や、ビタミンB群やCなどの水溶性の栄養成分も流れ出てしまいます。食材にもよりますが、目安としては5~10分程度に。千切りや薄切りの場合は1分程度で良いでしょう。
水にさらしたら、水切りはしっかりと行いましょう。ザルにのせて、ペーパーで押さえて水分を取ります。水っぽいままだと、調理の味付けや食感に影響が出ることも。油で加熱する際にはねる原因にもなるので、丁寧に拭き取っておきます。
「冷水に取る」とは? 青菜のおひたしなど
「冷水に取る」とは、同じく水に浸すことですが、こちらは加熱した食材をボウルなどに入った冷水で一気に冷ますことを言います。ゆでた野菜をおひたしなどにする際に、よく出てくる言葉です。たとえば、ゆでたホウレン草を冷水に入れて冷ますことで、えぐみがなくなり食感も良く、色鮮やかに仕上がります。
サラダの具材としてしゃぶしゃぶ用の豚肉や鶏ささみなどを使う際に、加熱した肉の粗熱を取るために冷水に取ることもあると思います。水っぽい仕上がりになることもあるので、冷水に取らず、そのままザルの上などにのせて冷ます方法でも問題ありません。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾