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「ひと煮立ち」したらすぐに火を止めても良い? 「煮る」の正しい知識を元家庭科教師が解説【お料理1年生のためのレシピ用語】

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

だしをひと煮立ちさせる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
だしをひと煮立ちさせる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 この春、新生活で自炊に挑戦する人もいると思います。レシピ本を見ていると、似ているようで微妙に違う言葉を目にし、意味がわからないこともあるでしょう。たとえば「ひと煮立ち」。煮ることとは思うのですが、「煮る」や「煮立てる」などとは何が違うのでしょうか? 料理初心者に限らず、お料理好きな方も知っているようで意外に知らないレシピ用語。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。

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「ひと煮立ち」の「ひと」とは 「ひと煮」との違い

「ひと煮立ち」とは、煮物や汁物を作る際によく使われる言葉です。そもそも「煮立てる」というのは、グラグラと沸騰させること。ひと煮立ちの「ひと」とは、一瞬や少しなどの意味で「ひと呼吸の間」と同じです。したがって、ひと煮立ちさせるというのは、煮汁や汁を火にかけてボコボコと泡が出る沸騰状態までにしたら、中火にしてひと呼吸の間(30秒程度)待って火を止めることです。

 ひと煮立ちさせる目的は、食材に味を染み込ませたり、火が通りやすい食材を彩り良く仕上げたり、臭いを出さないためです。たとえば、根菜類の煮物などは、最後にひと煮立ちさせ味を染み込ませます。ミツバやサヤエンドウなどは長く煮ると色が変わってしまうので、最後に加えてひと煮立ちさせることで、鮮やかな緑色に仕上がります。昆布とカツオ節の混合だしを取る際には、魚臭さを出さないためにカツオ節を入れてからひと煮立ちさせます。

 また、水溶き片栗粉で料理にとろみをつける場合にもひと煮立ちさせます。しっかりと沸騰させ、ひと呼吸待つことで、とろみがしっかりとつくでしょう。

 似ている意味で「ひと煮」があります。こちらは「立てる」ことはしないので、泡が沸々と出てきたら、沸騰させずに火を止めることです。たとえば、みそ汁はみそを入れてから沸騰させてしまうと本来の香りや風味が落ちてしまうので、ひと煮します。