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料理の水加減 「ひたひた」はどれくらい? 「かぶるくらい」との違いとは
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教えてくれた人:和漢 歩実
この春、新生活で自炊を始めたという人もいるかと思います。レシピ本を見て、知っているような簡単な言葉でも、実際にやってみると具体的な工程がわからないこともあるかもしれません。たとえば水加減の量「ひたひた」。いったい、どれくらいの量なのでしょうか。「かぶるくらい」や「たっぷり」との違いとは? 料理初心者に限らず、お料理好きな方も知っているようで意外に知らないレシピ用語。元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。
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「ひたひた」とは たっぷりの量ではない?
煮物などを作る際、鍋に水を「ひたひたに加える」や「かぶるくらいの量を入れる」などという記載がレシピにあり、実際にどのくらいの量を入れて良いか戸惑うこともあるでしょう。
「ひたひた」は、「浸る」と語源が同じ。「材料が液体の中に、完全に浸るのではなく一部浸かる」という意味です。したがって、材料が入った鍋などに「水をひたひたに加える」とは、材料が水の中に入りつつも、ほんの少し頭を出すくらいの量。材料の重量の約70%といわれています。煮物などをするときの目安量で、鍋いっぱいの量ではありません。
ひたひたの量で調理するケースは、煮汁が残らないように煮詰めたいとき、煮崩れしやすい食材を煮るとき、落としぶたなどを使用するときです。
水を入れすぎると味付けがうまくいかないこともあるので、「ひたひた」と書かれている際は量に注意しましょう。
「かぶるくらい」は「ひたひた」より多い
一方、「かぶるくらい」の水加減とは、材料が完全に水に浸かって水面から出ていない量を言い、「ひたひた」よりも多めです。材料と同じ重量(100%)といわれています。材料がたくさんある際は、きっちりと平らになる鍋を使うと良いでしょう。
ジャガイモといった根菜類などを茹でるときの目安量になります。ゆで卵を作る際も、かぶるくらいの水加減がちょうど良いでしょう。
「たっぷり」はもっとも量が多い
最後に、「たっぷり」とは言葉通りたっぷりの水加減を言い、材料全体が完全に水に浸かった状態です。水が材料の高さの2倍くらいある量で、材料の重量の200%といわれています。レシピ上の「ひたひた」「かぶるくらい」に比べると、かなり多い量です。
里芋など色が変わりやすいものを煮るとき、麺類や青菜を茹でるときなどは、たっぷりの量の水を用います。「たっぷりの水」と書かれているときは、少なすぎると失敗する原因にもなるので、多めの水を使用しましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾