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料理の下ごしらえ 「一晩置く」の「一晩」は何時間? 仕込みの方法も【お料理1年生のためのレシピ用語】

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

焼く前に卵液に浸して一晩置くフレンチトースト(写真はイメージ)【写真:写真AC】
焼く前に卵液に浸して一晩置くフレンチトースト(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 料理初心者に限らず、お料理好きな方も知っているようで意外に知らないレシピ用語。レシピ本を見て、知っているような簡単な言葉でも、実際にやってみると具体的な工程がわからないこともあるかもしれません。たとえば「一晩置く」。いったい、どれくらいの時間を指すのでしょうか? 元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんが解説します。

 ◇ ◇ ◇

夜である必要はあるのか?

 レシピで出てくる時間の表記に「一晩置く」があります。主に調理前の仕込み作業、または調理し終わったものを冷まして味を染み込ませたいときなどに用いることが多いでしょう。たとえば、食材の下ごしらえとして調味液などに漬け込んだり、浸水させたり、調理した食材の味をなじませるために冷蔵庫へ入れて寝かせておくといったケースです。

 この「一晩」が何時間なのか、迷うことがあるかもしれません。とくに決まった時間はありませんが、人の睡眠時間程度の6~10時間、つまり8時間前後と解釈しておくと良いでしょう。多少の時間差があっても仕上がりに大差がないときに使われます。

 また「晩」とありますが、夜に行わないといけないものではありません。待ち時間が長いため「一晩寝て待つ」としたのか、朝から料理に取りかかれるように前の晩から仕込むとの意味から来たのか、由来は定かではありませんが、朝から8時間前後置いてもかまいません。

 レシピに「一晩置く」とある料理を作る際の注意点は、「待ち」の時間が長いという点。実際の調理時間が短くとも、その前後に「置く」作業が8時間前後あるので、完成するまでに時間がかかる料理であることを心がけておきましょう。

 料理によっては「一日寝かせる」や「半日寝かせる」などの記述に変わることもあります。一日は24時間程度、半日は12時間程度が目安です。発酵など例外はありますが、一晩も含めて調理前に長時間「寝かせる」仕込みは、基本的に寝かせる食材を器に入れてラップなどをし、冷蔵庫の中に入れておくことが多いです。

そのほかにも、知っているようで知らない下ごしらえ時間の目安

水にさらしたナス(写真はイメージ)【写真:写真AC】
水にさらしたナス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 このほか、調理の下ごしらえで「そのまま置く」や「さっと浸す」といった表現で具体的な時間が不明なケースもありますが、目安としては次の通りです。

○魚の切り身に塩を振って、そのまま置く
 魚の臭みを取ることが目的で、目安は10分程度。出てきた水分を拭いてから調理しましょう。

○千切りキャベツを冷水にさっと浸す
 シャキッとした食感にすることが目的です。目安は1~2分。

○切ったジャガイモやナスを水にさらす
 アクやでんぷん質を抜き、変色を防ぐことが目的。目安は5分程度です。

○レンコンを酢水にさらす
 アクを抜き、変色を防ぐことが目的です。目安は5分程度。ちなみに、酢水は水1リットルに対して酢大さじ1~2程度(約3%)が良いでしょう。

 野菜を水に浸したり、さらしたりする際は短時間にとどめましょう。そうしないと、水溶性の栄養成分がどんどん流出してしまいます。ゴボウも、レンコンと同様に酢水にさらしてアク抜きするのが料理の基本ですが、ポリフェノールが流出してしまうため、最近では水につけないことを推奨しているものもあります。目安の時間内に手早く行いましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾