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6月15日は「生姜の日」 蒸し暑い梅雨に注目の栄養素は 食べ方もポイントに

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

辛味が特徴の根ショウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
辛味が特徴の根ショウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 6月15日は「生姜の日」。香辛料の神をまつる石川県の「波自加弥(はじかみ)神社」で毎年この日にショウガを献上して行う「はじかみ大祭」に由来し、2009年に永谷園が記念日として制定したそうです。記念日にちなみ、ショウガについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。

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古くから薬効成分が注目された野菜のひとつ

 日本でのショウガの歴史は古く、3世紀頃には伝わったとされています。その効能も昔から注目されており、熱や咳を鎮めたり、血行を促進し体を温めたりすることに用いられてきました。

 ひとくくりにショウガといっても、収穫の時期などで違いがあります。通年出回るのは、皮が薄茶色をした「根ショウガ」です。独特の辛味が特徴で、一般的には秋に収穫され、数か月貯蔵されてから出荷されます。一方で、梅雨から初夏の頃に収穫され、貯蔵されずにすぐ出回るものが「新ショウガ」です。皮が白く、辛味は弱くて甘酢漬けなどに用いられる季節限定のものです。

 ショウガの注目成分というと、殺菌や解熱効果などに期待できるジンゲロール、血行を促進し体を芯から温めるショウガオール、疲労回復や食欲を増進すると言われているシネオールです。根ショウガと新ショウガに含まれる栄養成分については、ほぼ変わりはありません。しかし、新ショウガは根ショウガに比べ水分が多いため、同量で比べると栄養価は低くなります。

疲労回復は生で、冷えが気になる場合は加熱で

生で食べやすい新ショウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
生で食べやすい新ショウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 お寿司とともにいただくガリ、体の芯から温まりたいときのショウガ湯、夏バテで食欲がわかないときにめん類や冷奴の薬味として――。これらの食べ方は、まさに先人の知恵と言えるでしょう。すべて理にかなっています。

 生のショウガに含まれるジンゲロールには、熱を下げる効果があるため、蒸し暑さが気になる梅雨の時期に注目したい成分です。また強い殺菌作用もあり、刺身などの生ものを食べる際にも薬味として積極的に用いると良いでしょう。高温多湿でバテやすいこの季節。疲労回復にも、ぜひ食卓に取り入れたい食材です。

 根ショウガの場合は辛味が強いのですりおろすと良いですし、新ショウガの場合はみずみずしく辛味が少ないので、スライスして甘酢漬けにして食べても、みそやドレッシングをつけてもおいしくいただけます。

温かい紅茶にショウガを加えても(写真はイメージ)【写真:写真AC】
温かい紅茶にショウガを加えても(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ただし、冷えが気になる場合、ショウガは生ではなく加熱して食べるほうが良いでしょう。冬に限らず、梅雨から夏にかけては、意外と体が冷えやすいシーズンです。冷たい飲み物や食べ物をとりすぎていたり、クーラーなどで冷えた部屋に長時間いたりして、気づかぬうちに体が冷えてしまうことも。

 ショウガを加熱すると、ジンゲロールがショウガオールに変わり、生のショウガとは違う効果が生まれます。ショウガオールには血行促進の作用が期待されるため、体を温めたいときにはおすすめ。すりおろしたショウガを紅茶やみそ汁、スープなどの温かい飲み物や汁物に入れると手軽です。また料理を作る際にショウガを使うと風味付けにもなって、味に深みも増すでしょう。

 梅雨の時期は新ショウガ、根ショウガのどちらも出回ります。薬膳でもショウガは胃腸の働きを良くし、体内の余分な水分を排出してくれると言われています。とくにむくみやすい人は、ジメジメとした高温多湿の季節を乗り切るためにショウガを活用すると良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾