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激辛シシトウは見分けられるか 当たったときの対処法やうれしい栄養素も 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

たまに激辛があるシシトウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
たまに激辛があるシシトウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 独特な苦味がおいしいシシトウ。天ぷらや焼き鳥、魚料理の付け合わせなどに使われます。通年流通していますが、夏がおいしい季節で、店頭でもよく見かけます。辛味の少ない唐辛子なのですが、たまに激辛のものがあり食べた際に驚くことがあります。いったい、なぜでしょうか? また栄養価など今さら聞けないシシトウの豆知識について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

無視できない激辛シシトウの存在

 シシトウは、「獅子唐辛子」が正式名です。実の先端が獅子の頭に似ていることが名の由来とか。唐辛子の辛味成分である「カプサイシン」はわずかに含まれている程度。基本的には食べても辛さを感じない品種です。ピーマンと同じくトウガラシの甘味種に属し、種ごと食べられる野菜です。

 ただし、辛味がものすごく強いシシトウを食べてしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。激辛シシトウは、できれば避けたいものです。激辛になる原因は、現在のところはっきりしませんが、有力視されているのは「育つ過程でストレスを受け辛くなる」ということ。乾燥した天候や水分不足などによって強いストレスを受けると、辛味成分を作る働きが活発化されるそうです。

「先がとがっているシシトウは辛い」との通説もありますが、先がとがっているシシトウすべてが辛いわけではありません。購入するときは、光沢があり、できれば先がとがっていないもの、形がよじれてなくまっすぐなものを選ぶと良いでしょう。

 もし、激辛シシトウに当たってしまった場合は、乳製品を食べると辛味が緩和されます。牛乳やヨーグルトドリンクなどを飲むと良いでしょう。辛味成分のカプサイシンは脂溶性で水に溶けにくいので、水を飲んでも一時、和らぐだけで辛さは収まりにくいです。

シシトウの知られざる栄養

炒めものなどにシシトウをプラス(写真はイメージ)【写真:写真AC】
炒めものなどにシシトウをプラス(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 シシトウは、肌に潤いと弾力を与えて美肌には欠かせないコラーゲンの生成に必要なビタミンCが豊富。同量のミカンと比べると、1.6倍のビタミンCを含みます。

 カリウムや食物繊維も含むので、冷たいものを飲む機会が増え、むくみや腸内環境が気になるこれからの季節におすすめの野菜と言えるでしょう。

 またβカロテンが多いのも特徴です。必要時に体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にし、免疫機能を高める効果が期待できます。

 βカロテンを効率よく摂取したい場合は、シシトウは脂溶性で油との相性が良いので、そのまま焼くよりも素揚げや天ぷら、炒めものなどにして食べるのがおすすめです。

 これから暑い季節は、たとえば豚肉など疲労回復を助けるビタミンB1を多く含む食材と合わせて食べるのも良いでしょう。とくに豚肉とみそ炒めにすると絶品です。発酵食品であるみそには強い抗酸化作用があり、これからの強い日差しによる紫外線対策としても積極的にとりたいものです。

 シシトウは、そのまま調理すると破裂することがあります。ヘタの部分を少し切り落としたら、あらかじめ実の部分に楊枝で穴をあけたり、縦に切り込みを入れたりしてから調理します。

 種にも実と同じようにβカロテンを始め、ビタミンC、食物繊維などが含まれています。種ごと食べられるシシトウですが、どうしても食感などが気になる場合は、まな板の上でコロコロと転がしてからヘタを切り落とします。ヘタの部分を下にして実を指で弾くと、切り落としたヘタの部分から種が落ちてきます。袋の上などで行うと良いでしょう。

 料理の付け合わせに使われることが多いため“脇役”のイメージがあるシシトウですが、蒸し暑い季節に役立つ栄養がたっぷりと含まれています。激辛は避けたいところですが、ぜひ日々の食卓に取り入れてほしい野菜です。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾