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小さな印鑑に「寿限無」108文字がぎっしり…熟練の技に驚き 「20年以上の経験がないと難しい」
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「連休ど真ん中に言うことじゃないけど 寿限無(じゅげむ)の印鑑も彫れます」。島根県の印鑑の製造販売会社「永江印祥堂」がSNS上に投稿した「寿限無」の印鑑が、インターネット上で話題を呼んでいます。印鑑の中に108文字を収めるにはどれほどの技術を要するのでしょうか。制作工程について永江印祥堂に聞きました。
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「寿限無」の落語にある108文字の名前すべてをひとつの印鑑に
「寿限無」とは、長い名前を早口言葉で言い立てる落語の代表的な前座噺の題目で、生まれた子どもにめでたい名前を付けようと寺の和尚さんを訪ねた父親が、いろいろと教えてもらっためでたい言葉をすべて並べ、子どもの名前にしてしまうという小ばなしです。子どもの名前は「寿限無、寿限無 五劫のすりきれ 海砂利水魚の 水行末・雲来末・風来末 食う寝るところに住むところ やぶらこうじのぶらこうじ パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの 長久命の長助」といい、字数にして全108文字にもなります。
1970年創業の永江印祥堂では、この108文字すべてを収めた印鑑を制作。今月16日の投稿は5.9万件の“いいね”と1.6万件のリツイートを集めており、「技術すごい……めっちゃ細かい!」「素晴らしい力作ですね プレゼントにも良さそうです」「これ銀行印にしたい」「(パブロ・)ピカソのフルネームもお願いします」などの声が上がり、大きな反響を呼んでいます。
永江印祥堂の担当者は、「寿限無」のような細かい印鑑制作の工程について「まず、読みやすく、彫刻しやすいように文字の配列と、漢字の角数が多い文字や濁点の微妙な文字の大きさ・形にこだわって編集しています。その後、見た目がきれいに彫刻できて、かつ捺印する際にきれいに押せるように針の選択・速度・深さにこだわって彫刻。彫刻して終わりではなく最終的にきれいに彫れているか、きれいに捺印ができるかを最終チェックします」と説明。技術的な難易度については「20年以上携わっている者が編集・彫刻・手仕上げをしております。その経験がないと難しいと思います」と話します。
2022年10月に87文字の印鑑を制作し、SNSで大きな反響を呼んだことから、印章業界を盛り上げるためにチャレンジを行っているという同社。今後も職人の技術をいかした取り組みを続けていくとしています。
印鑑は、永江印祥堂の公式オンラインショップ、及びBASEショップで購入が可能です。
(Hint-Pot編集部)