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電気代高騰が続く今 省エネ家電に買い替え以外の対策は?

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

冷暖房費を抑えるためには、外気と触れる窓がポイント(写真はイメージ)【写真:写真AC】
冷暖房費を抑えるためには、外気と触れる窓がポイント(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 東京電力など大手電力会社が6月に料金改定を行い、政府は負担軽減策を発表したものの、今後も値上げによる家計の圧迫が懸念されています。節電のためと、省エネ家電に人気が集まっていますが、変えたほうがいいもののひとつに「窓」があります。窓や玄関のリフォーム専業店「中沢硝子建窓」の中沢仁郎さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

東京の家は北海道より寒い!?

 電気代の増減に大きく関わるのが冷暖房費。抑えるためにも省エネエアコン導入を考える人は多くいますが、見落としがちなのが窓です。「夏に部屋の中が高温になるのも、冬に低温になるのも、原因の多くは『窓』にあります」と、中沢硝子建窓の中沢仁郎さんは言います。

「家の開口部である窓やドアは、熱の出入りが大きい場所です。窓メーカー『YKK AP』の調べでは、日本で従来使われているアルミフレームの窓の場合、たとえ複層ガラスを使用していても、夏は熱い外気の74%が、冬は室内の温かい空気の50%が窓を介して流入出してしまうことがわかっています。この窓を樹脂フレームや二重窓、断熱効果が高いものに替えるだけで、熱気・冷気の流入出を減らすことができ、電気やガスの消費をグッと抑えることができるようになるのです」

 わかりやすいのは、外気温が氷点下になる冬。屋内では半袖Tシャツ1枚で、アイスを片手に快適に過ごす――そんな北海道“あるある”を聞いたことがある方も多いことでしょう。「大げさな……」と思われるかもしれませんが、実はそうとも言えない事実なのです。

 というのも、たとえば東京ではいまだにアルミサッシやアルミフレーム、単板ガラスの家庭が多く、家のリフォームを行っても窓は昔のままという家が少なくないといわれています。しかし、北海道では樹脂サッシや樹脂フレーム、トリプルガラスの窓が基本。玄関も高断熱のドアが用いられたり、玄関周りをフードと呼ばれるガラス製の小部屋で覆ったりするなど、外気をシャットアウトする工夫の施された住宅が多いのです。

 外気温が0度の場合、室温20度の部屋にある単板ガラスの室内表面温度は6度まで下がり、せっかく温めた熱が屋外へとどんどん逃げてしまいます。また「コールドドラフト」と呼ばれる、窓ガラスで冷やされた冷気が暖かい室内に流れ込み、足元が冷えてしまう現象も経験したことがあるでしょう。そのため、必要以上にエアコンやストーブを使うことになり、電気代はかさむ一方という結果になるのです。

 しかし、トリプルガラスなら、同様の環境において室温表面温度は19度程度までしか下がらず、コールドドラフトも起こらないため、暖かさがキープされます。これは夏の冷房でも言えること。北海道では、さすがに夏場に冷房を入れる家は少ないようですが、複層ガラスは単板ガラスに比べて日射熱や紫外線を低減させるため、外気温が上がっても涼しさを保つといううれしい効果があるのです。

築25年を過ぎているなら窓のリフォームも選択肢に

 中沢さんによると、日本は比較的温暖な気候の地域が多いため窓に注目することが少なく、大規模にリフォームする際も窓を後回しにする傾向にあるそうです。

「窓は室内を快適に保つのみならず、光や騒音を遮断する効果があり、防犯対策にもなります。自宅のリフォームを考えているのなら、窓周りのリフォームにも注目してほしいです」

 とくに築25年以上になる家は、アルミサッシ・単板ガラスが使われていることが多いそうです。ちなみに、サッシごと変えるのはやや大がかりな工事になってしまうため、窓そのものだけリフォームし複層ガラスに替える方法もありますが、今ある窓の内側にもうひとつ窓を取り付ける「二重窓(内窓)」という工法もあります。これなら「大きな工事をせずに室内温度を保ちたい」「結露によるカビを防ぎたい」という願いを叶えることができるだけでなく、子どもの泣き声やペットの吠え声などの騒音を減らすこともできるそう。さらには、防犯対策にもなります。

 電気代の値上がりが続く今、省エネ家電だけでなく、住宅のリフォームを選択肢に入れてみてもいいかもしれませんね。

(和栗 恵)