からだ・美容
ステンレス製の水筒で食中毒になる可能性も 入れてはいけない飲料と健康リスクを医師が解説
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エコ活動のひとつとして、マイボトルを持ち歩いている人もいるでしょう。そのなかでも、保冷や保温効果のあるステンレス製の水筒は人気です。しかし、入れる飲み物によっては壊れてしまったり、体に悪い影響を及ぼしたりする場合も。どのようなものを入れると良くないのかについて、なかざわ腎泌尿器科クリニックで院長を務める中澤佑介医師にお話を伺いました。
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酸性の飲み物を入れると体に悪影響を及ぼすことも
ステンレスは一般的に、腐食に対しての耐性はありますが、とくに酸性の飲み物はステンレス表面に対して腐食を引き起こす可能性があります。そのため、ステンレス製の水筒に入れる飲料として炭酸飲料は不向きです。
なぜ“NG”なのかという理由は、主に水筒の素材や構造上の制約が関係しています。ステンレス製の水筒は通常、密封性が高く、内部の圧力を逃がす仕組みが不十分です。そのため、炭酸ガスを発する飲み物は、ステンレス製のボトル内で圧力を高める可能性も。これにより、水筒が変形したり、飲料が漏れたりするだけでなく、内部の腐食や汚染が進んで水筒自体が使えなくなる場合もあります。
また、酸性の飲み物を長期間入れておくと微小な腐食が生じることもあります。これにより微量の金属粒子が飲み物に溶け込み、溶け込んだ微量の金属粒子を飲み物と一緒に摂取すると、健康に悪影響を及ぼすことも。健康リスクを考えると、酸性の飲み物はステンレス製の水筒へは入れないほうが良いでしょう。
ほかには、牛乳などの乳飲料、果実ジュースも不向きです。保冷が効くとはいえ、それらを水筒に入れると容易に腐敗することもあります。また、ステンレス製の水筒は内部の洗浄がしにくく、腐敗した残留物が底にとどまる可能性も。それをそのままにして使い続けていると菌が繁殖し、腹痛や食中毒になる危険性もあります。
どのような飲み物を入れたとしても、使用後の洗浄は欠かせません。暑い時期は菌が繁殖しやすい時期でもあるため、熱湯消毒などをして水筒内を清潔に保つことが大切です。その際はやけどに注意し、水筒本体だけでなく、フタやゴムの部分なども一緒に消毒すると良いでしょう。
同じものをずっと使っていると、劣化して内部が破損している場合もあります。思わぬ事故になる前に、古いものは新しいものに買い替えると良いでしょう。
※素材によっては熱湯消毒が向いていない場合もあるため、水筒の取扱説明書を確認してから行ってください。
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長。金沢医科大学で泌尿器科の臨床医として経験を積み、2021年11月に同院を開院。科学的根拠に基づいた安全で質の高い医療を行うだけでなく、患者に寄り添い、一人ひとりに合った治療方針を提供している。
(Hint-Pot編集部)