奇跡は簡単には起きないものですが、周りの助けと本人の努力によって起こることも。今年の初め、米テネシー州で1匹の犬がひき逃げに遭い、腰から下が麻痺して半身不随となりました。しかし今、この犬は驚くべき回復力でシッポを振る力を取り戻し、「驚異の犬」と呼ばれ、米国で話題になっています。

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後ろ足もシッポも使えない半身不随の状態で発見された犬

　米国テネシー州チャタヌーガにあるマッカミー動物センターは、1月初旬に負傷した犬を車の下で発見したという電話を受けました。「私たちがそこに着いたとき、犬は車の下で、泥とオイルにまみれていました」と同センターのディレクターであるローレン・マンさんは、米誌「ピープル」の取材に答えています。

　犬種は不明ですが、6歳くらいと思われるその犬は「ウォード」と呼ばれ、同センターで治療を受けることに。ウォードは麻痺により、後ろ足もシッポも動かせず、膀胱のコントロールもできなくなっていたそうです。そして、移動の際には車いすの助けが必要な状態でした。

　しかし、ウォードは車いすでの歩き方のコツを掴むと元気良く動き回れるようになり、「彼を止められなくなった」とローレンさんは言います。ウォードはその後、同センターで理学療法を受け、自力で立てなかった状態から、一度に数秒間、立つことができるようになりました。

里親のサポートでどんどんできることが増えたウォード

　そしてウォードは7月、同センターが開催した譲渡会で、新しい家族に出会いました。里親のケリン・マーフィさんがウォードを自宅に連れて帰るとき、スタッフたちはみんなで泣いてお見送りをしたそう。「作業を中断して、正面玄関のロビーまでみんなで集まり、並んで、拍手でウォードを見送りました」とローレンさんは語っています。

　こうしてウォードの新たな生活が始まりました。理学療法士助手でもあるケリンさんは、ウォードのために古い歩行器を使って立ち上がり用のフレームを作り、腰を支えるためにお腹に巻くスリングも準備しました。マーフィ家に引き取られて以来、ウォードはさまざまなことができるようになっていったそうです。

　ウォードはほかの犬たちとも仲良しで、「ずっと前からお互いを知っているかのようだ」と、ケリンさんはいいます。驚異的な回復を経て、新たな家族と出会えたウォードが、これからも幸せに過ごせるといいですね。

（Hint-Pot編集部）