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片足を失くした元盲導犬 笑顔を取り戻すまでの2年間の軌跡に感動 ご褒美バナナに目を輝かせる姿が話題に

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ダイエットに励むレオくん。ご褒美のバナナを前に目を輝かせる姿がキュート(画像はスクリーンショット)
ダイエットに励むレオくん。ご褒美のバナナを前に目を輝かせる姿がキュート(画像はスクリーンショット)

 大好物のバナナに目を輝かせる、1匹のラブラドールレトリーバー。ダイエットを頑張ったご褒美をもらっているところだそうです。このわんちゃんは元盲導犬で、病気のため2年前に引退。右後ろ足の裏にガンが見つかり、右足全体を切断して、今は三本足で生活しています。飼い主さん家族とともに“第二の犬生”を歩み始めましたが、そこには想像を絶する困難が。どのような日々を過ごしてきたのか、飼い主さんに詳しいお話を伺いました。

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ガンで右後ろ足を失い、盲導犬を引退 引き取るために重ねた家族会議

 2021年に盲導犬の役務を終えた、元盲導犬の「レオ」くん。現在9歳で、とても頼りがいがあって優しいラブラドールレトリーバー男の子です。

 飼い主さんがレオくんと出会ったのは、福祉施設で働いていたときのこと。関連施設でレオくんのユーザーさん(編集部注:盲導犬の補助を受ける人)が働いており、レオくんが終業の時間までおとなしく座って待っているのを見かけました。初めて接する盲導犬を「特別な存在」だと感じた飼い主さん。それからときどき、レオくんの散歩をさせてもらうようになりました。

 そんなある日、飼い主さんは、レオくんが盲導犬を引退することを知りました。レオくんの右後ろ足の裏にガンが見つかったのです。さらに、転移の可能性があるため、患部だけを切除するのではなく、右後ろ足すべてを切断することになりました。

 盲導犬としての人生を絶たれてしまったレオくん。盲導犬協会からは、「保護施設へ行くか、家庭に引き取られるか」の選択を求められていました。

 その後、レオくんの手術は無事に成功しましたが、しばらくの間入院生活を送ることに。レオくんはむやみに鳴かないよう訓練を受けてきましたが、入院中はケージの中で大きな声を出し鳴いていたそうです。手術のプレッシャーや右後ろ足を失った不安、盲導犬の仕事を奪われてしまったストレスなどが頂点に達してしまったことが原因と考えられました。

 また、レオくんは術後の容態が芳しくありませんでした。この先、レオくんがどこまで生きられるかわからない状態だったといいます。そんなレオくんの様子を見かねて、飼い主さんは「レオくんを引き取りたい」と家族に申し出ました。

 実は犬を飼うのは、レオくんが初めて。飼い主さんは何度も家族と話し合いを重ね、「この先、レオに何があっても私自身で責任を持って、最後までお世話をする」と約束しました。そして、どうにか家族の理解を得ることができ、レオくんのお迎えが決まったのです。

 体調を持ち直したレオくんは、晴れて退院。飼い主さん家族のもとで、“第二の犬生”への一歩を踏み出しました。しかし、新しい暮らしをスタートさせて1年ほどは、元気も食欲もなく、人間の顔色をうかがいながら過ごす日々が続きました。

 盲導犬としての生活とはまったく異なる環境と、ユーザーさんもいない状況になかなか慣れることができず、ほとんど引きこもった状態に。ようやくごはんを食べるようになってからも、なかなか人間に近寄ろうとはしなかったそうです。

 そんなレオくんを変えたのは、飼い主さんの娘さんでした。レオくんの不安な気持ちを受け止め、献身的にサポート。たくさん愛情を注がれたレオくんは、「ここは自分のおうちで、家族の一員として愛されている」ということを実感することができました。