体を揺らしながら、なにやら振付を考えているような馬の姿がX（ツイッター）上で注目を集めています。軽やかなステップを踏んでいたのは、JRAの重賞を2勝した実績があるダンスディレクターです。現在、北海道日高町にある「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」で余生を送っています。9月の終わりに同ファームの公式X（ツイッター）アカウント（@Versailles_Farm）でリズミカルにステップを踏む姿が公開されると、6000件を超える“いいね”が。現在、どのように過ごしているのか、同ファームの岩崎崇文さんに伺いました。

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今は見せてくれなくなった貴重なダンスシーン

　日本語で「振付師」の意味を持つ、ダンスディレクター。その名の通り、元競走馬のダンスディレクターは同ファームの公式Xアカウントで、軽やかなステップを披露しています。

　岩崎さんはこのときのダンスディレクターについて、「洗い場（馬の体を洗う場所）で手入れをしたあと、早く放牧に行きたかったのか動き出しました」と振り返ります。種牡馬生活を送っていた牧場「アロースタッド」（北海道日高郡）から移動してきたばかりで、来てすぐの2～3日は洗い場でこの動きを見せていたそうです。今はもうこのステップを見せることはなく、貴重な姿になりました。

　Xで公開されると6000件を超える“いいね”が集まり、リプライ（返信）には「私にもそのかわいい振付教えて～！」「かわいい　素敵な振付」「思った以上にノリノリステップ！」「これが巧みなステップなのか……！」など、ダンスディレクターのステップに魅了される人からの声があふれています。

個性派の仲間に負けじとステップを披露!?

　Yogiboヴェルサイユリゾートファームといえば、障害レースの絶対王者オジュウチョウサン、ビーズクッションに横たわる姿で注目を浴びたアドマイヤジャパン、“破壊神”の異名を持つタニノギムレットなど、個性派の名馬がたくさんいます。

「特徴を持った子が多いです。ダンスディレクターもそれをわかっていて、移動してすぐにステップを見せてくれたのかなと思います」と岩崎さんは言います。ダンスディレクターは、ほかの仲間に負けじとステップを見せていたのかもしれませんね。

　ダンスディレクターの競争成績は26戦7勝。JRAの重賞を2勝し、GIレースにも3回出走して最高4着の成績を残しています。体重は440キロ前後と、決して大きくないサイズでも目一杯、走り切りました。

　岩崎さんによると、ダンスディレクターには少し臆病なところがあるようで、集放牧の際に物見をすることが多いそうです。草食動物の馬は、肉食動物への警戒心が強いもの。時間が経てば環境にも慣れて、仲間と駆け回る姿も見られるでしょう。

　競走生活を退いた引退馬を支えるため、同ファームではサポーターを募集しています。個性豊かな名馬たちはもちろん、新たに仲間入りしたダンスディレクターからも目が離せませんね。

（Hint-Pot編集部）