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ハロウィーン“渋谷封鎖” 訪れた外国人の本音 「警察に目をつけられるのはとても怖い」「警備は理解できる」
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ハロウィーン当日を迎えた10月31日、東京・渋谷は大勢の外国人観光客でにぎわいました。ただ、区による「渋谷に来ないで」のアナウンスを受け、仮装姿の外国人はわずか。駅前や道路を警察車両が厳重警戒する中、ハロウィーン特有の華やかさは影を潜めました。観光で訪れた外国人は“ハロウィーン渋谷封鎖”をどう思ったのでしょうか。本音を聞きました。
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顔にペイントのオーストラリア人女性 「ここに長居はしたくない」
「なんて数の警察官がいるんだ……」
31日午後4時過ぎ、スクランブル交差点で驚きの声を上げたのはアジア系の外国人です。宮益坂方面に向かう一部が通行止めになり、警察車両が道をふさぐように止まっています。駅前もまるでバリケードが築かれたかのような厳重な雰囲気。警察官やセキュリティーが取り囲み、通行人に立ち止まらないよう誘導を繰り返していました。
そんな中、外国人観光客は続々と渋谷に到着。歩行者の2人に1人は外国人と言っても過言ではないほどです。
ただ、ハロウィーンを目当てに来る人はまばらでした。仮装している外国人はほとんど見られません。ただならぬ街の気配を感じ、警察車両にカメラを向けている人もいます。
外国人の目に、今年の渋谷ハロウィーンはどう映ったのでしょうか。オーストラリア・メルボルンから来たステファニーさんは、警備について「賢明な判断だと思います。昨年、韓国で雑踏事故がありました。ああいう事故で亡くなってほしくないです。日本はとてもスマートな対応です」と、話しました。
訪日は7回目。日本文化に興味を持ち、北海道の宗谷岬や鹿児島・指宿(いぶすき)温泉を訪れた経験もあります。今回は3週間の予定で、日本に滞在しています。
繰り返したのは、「ハロウィーンなのでお祝いしたいけど、トラブルは起こしたくない」との言葉です。「ここに長居はしたくないです。トラブルは望んでいません。写真を撮るために渋谷に寄っただけ。警察に目をつけられるのはとても怖いわ」と、目的を語りました。
顏にスケルトンのペイントを施し、首には骨を描きました。スペインのロックバンド「ブロークンピーチ」にインスパイアされ、ホテルでメイクしてから外出したと言います。
ステファニーさんが歩き始めると、撮影を求める人が相次ぎましたが、「渋谷に来ないでとアナウンスがあったことは知っていました。面倒なことは起こしたくないです。私はお酒も飲まないし、タバコも吸いません。これから池袋に行こうと思っています」と言い、足早に去っていきました。
3人組のスペイン人 「スペインでは路上飲酒は許可されていません」
一方で、スペインからやって来た男性3人組は、「ハチ公の写真を撮ろうと思って来たけど、クローズしているとは知らなかったです」と、肩を落としていました。
厳戒態勢の渋谷は、街の空気が一変。シンボルのハチ公像も、28日から白い布で覆われていました。「ハチ公像周辺は封鎖となります」のメッセージは英語でも書かれており、屈強そうな警備員が目を光らせる中、それでも、ハチ公像を見ようと訪れる外国人の姿はこの日も頻繁に見られました。
スペインでは仮装は子どもの風習で、大人がすることは珍しいそうです。「スペインのハロウィーンはこんなに規模は大きくありません。路上飲酒は許可されていません」と、文化の違いを指摘します。
渋谷では「特別な目的はなく、ただ歩き回っています」と、散策を楽しんだ様子。渋谷区の対応には、「いい警備だと思う。ハロウィーンの特別体制と聞いているので、理解できます」と、語りました。
世界的にも有名な“渋谷のハロウィーン”。わざわざそれを目当てに、来日する外国人も多いです。しかし、渋谷区が騒乱回避に本腰を入れた結果、外国人の意識も変わりつつあります。2023年は、今後の大きな分岐点になるかもしれません。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)