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【海外が見た日本人】「日本は第二の故郷」 英国人記者が見た世界で類を見ない日本人のマナー
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新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日に引き下げられました。それに伴い、海外からの全入国者に対する水際対策も前倒しで終了し、海外からの旅行者の姿が都心部を中心に目立つようになっています。そこで、日本にいると忘れがちですが、海外から来日した外国人が見た日本の美徳、素晴らしさとはなんなのか――。元PAスポーツ通信アジア支局長で英国人記者のマイケル・チャーチさんが、「日本でのなにげない日常における忘れられないシーン」を紹介します。
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混み合うホームで整列する姿にびっくり
3年以上、日本で暮らした私は第二の故郷と感じています。離れていても忘れられない良さ、ここでしか感じることができない独特な美徳というものがあるからです。
日本では、人々から礼儀正しく迎えられることが約束されています。そのため、この国に住む人々にとってはなにげない日常でも、海外からの旅行者にとっては忘れられない場面になることがあるでしょう。
先日、サッカーのアジアチャンピオンズリーグ決勝戦の取材で、都内から埼玉スタジアムまで電車で向かう際にもそれを感じることがありました。
国際大会の決勝戦当日の電車は、サポーターで満員状態。停車駅のプラットホームでは、普段お目にかかれないような場面が車窓越しに待っていました。到着した乗客が全員降りるまで、ホームに立つ人々は辛抱強くホームで待っていたのです。試合に向かうサポーターが大半だったと思いますが、人の列は整然としていて、日本らしい規律正しさを感じた瞬間でした。
品位が漂う大都市・東京
私が今住んでいる香港には、乗客の降車を待つ人などまずいません。人々は、まるでドアに突撃でもするように電車へと吸い込まれます。そして、周囲をなぎ倒すような勢いで空席にたどり着こうとするのです。正直、日本で見かけるマナーの素晴らしさを、香港のみならず、ほかの国でも感じることはなかなかないでしょう。
車内や歩道でも他人に譲り、ぶつかるようなこともありません。東京ほどの大都市になればカオスな状態をイメージする外国人がいると思いますが、この国には静寂さ、規律、マナー、品位が漂ってます。世界の都市はどこか冷たい空気が漂い、寛容さに欠けますが、少なくともこの国の首都圏の住人と来訪者の間に流れるリスペクトというものは、ほかの国では見当たらないものです。
日本で私が愛するもののリストを羅列すれば、際限のないものになってしまうでしょう。日本への旅は私にとっては生きるうえでのエネルギーをもたらしてくれる、さわやかな体験です。またここに戻ってきたいと感じる理由を今後も紹介していきたいと思います。
※5月19日23時30分に記事の一部を修正しました。訂正してお詫びします。
(マイケル・チャーチ)
マイケル・チャーチ(まいける・ちゃーち)
キャリア30年を誇る英国人ジャーナリスト。英PAスポーツ通信のアジア支局長などを歴任し、サッカーのワールドカップ7大会連続取材。コラムニストとしても各国で活躍中。