食
栄養豊富なバナナを食べるタイミング 朝、昼、晩での目的の違いを栄養士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
通年店頭に並ぶバナナは、なじみがあるフルーツの代表といえるでしょう。手で皮がむけて、すぐに食べられるところも人気です。バナナは意外にも低カロリーで、栄養が豊富。そのことから、「朝バナナ」ダイエットが話題になったこともあります。栄養をいかすにはいつ食べたら良いのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
◇ ◇ ◇
日本人にとって、かつては高級品 栄養たっぷりのバナナ
バナナは、東南アジア原産のトロピカルフルーツです。もともとバナナには種がありましたが、突然変異によって種がなくなり、可食部(食べられる部分)の多い品種が誕生。19世紀末には、世界各地で栽培されるようになりました。
日本に初めてバナナが輸入されたのは、明治時代の頃です。しかし、当時は高級品で、一般庶民にとってはお土産や病気のときしか食べられない特別なフルーツでした。現在、日本のスーパーマーケットに並ぶバナナは、主にフィリピン産。ほかには皮が赤い「モラード」と呼ばれるレッドバナナや、小さめのモンキーバナナなどもあります。
糖質を主成分とするバナナですが、日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、バナナのエネルギー量は可食部100グラムあたり93キロカロリー(皮付き1本100~150グラム、廃棄率40%)。バナナ1本を150グラムで換算すると、可食部のカロリーは84キロカロリーとなり意外に低めです。このほか、体内の余分な塩分や水分を排出する働きがあるカリウムを豊富に含み、便通を促す効果に期待できる不溶性食物繊維もたっぷり。そのことから、むくみやすい人やダイエットが気になる人に注目されるフルーツとなったのでしょう。
栄養を効果的に摂取するタイミングとは?
ただし「バナナだけを食べていればOK」ではありません。また、量をたくさん食べると良いというものではなく、一般的な成人でしたら1日1本を目安に。ダイエットや健康のためには、バランスの良い食事を心がけるのが一番というのが大前提です。いつ食べると良いかも個々の生活スタイルによって変わりますが、朝、昼、晩のタイミングによって期待できる一般的なバナナの栄養について、それぞれ解説しましょう。
○朝バナナ
朝から元気良く活動するのに良いでしょう。私たちの体は睡眠中にもエネルギーを消費するため、朝の起床時はエネルギー不足の状態。バナナに含まれるブドウ糖は素早くエネルギーに変わるので、脳の働きを活発にすることが期待できます。バナナは果肉がやわらかく、でんぷん消化酵素のアミラーゼを含むフルーツ。起き抜けで食欲がないときも食べやすいでしょう。また、快眠に関与するセロトニンの生成に必要なビタミンB6やトリプトファンも含む食材。セロトニンの分泌には14~16時間ほどかかるので、その夜の熟睡のためには、朝にバナナを食べるのが効果的といえます。
○昼バナナ
夕方にかけて集中したいときに、ランチのデザート、または間食として食べると良いでしょう。バナナには、糖質をエネルギーに変換する補酵素ビタミンB1が含まれています。ビタミンB1が不足すると糖質からエネルギーを作ることができず、だるくなるなどの症状が現れることも。午後にもうひと頑張りという際は、昼にバナナを食べましょう。
○夜バナナ
寝ている間の栄養補給に。寝ているときに足がつりやすい人は、睡眠中に失われるミネラルの補給に。また、翌朝のために、食物繊維やオリゴ糖で腸内環境を整えるのも良いでしょう。ただし、バナナに含まれる糖質のひとつ果糖は脂肪に変わりやすいため、寝る直前に食べるのはNGです。夕食は睡眠の3時間前までに済ませると、胃腸の負担も軽く快眠できるといわれています。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾