からだ・美容
バナナは生理前の女性にとって強い味方 イライラや落ち込みを和らげる食事とは
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教えてくれた人:高須 希代
月経の数日前になると現れる腹痛や頭痛、倦怠感などの身体的なつらさや、気分の浮き沈み、集中力の低下などいつもとは違う精神状態。症状が月経とともに自然に消えていく場合、PMS(月経前症候群)と呼ばれます。このつらい症状の緩和には、日々の食生活の見直しも効果的だそう。そこで今回はPMSの症状を和らげるための食事について、管理栄養士で公認スポーツ栄養士の高須希代さんに「フェムテックtv」が話を伺います。
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心のモヤモヤはホルモンの急上昇&乱降下が原因
高須さんには前回、PMSによる腹痛や腰痛、頭痛などの痛みを伴う症状や、胃もたれや吐き気などの食欲不振に悩む女性におすすめの食材を紹介していただきました。今回は“生理前になるとなぜか気持ちが不安定になる”“不安感が強くなり鬱っぽくなる”といった精神的な症状に悩まされている方におすすめしたい食事のお話です。
「月経前の黄体期と呼ばれる時期になると、女性の体内では『エストロゲン(卵胞ホルモン)と『プロゲステロン(黄体ホルモン)』という2つの女性ホルモンが多く分泌されます。しかし『黄体期』の後半になると、今度は逆に両方のホルモンが急激に減少。この女性ホルモンの急上昇や乱降下によって、ホルモンバランスの乱れや、神経伝達物質の異常が引き起こり、女性の身体にさまざまな異変が起こるのです。
さらには、月経前になると気分が沈みがちな人は、この時期に減少する『セロトニン』という神経伝達物質の影響を過大に受けていることが原因だと言われています」
――女性の体内ではそんなことが起こっていたのですね。「セロトニン」は最近よく耳にする物質ですよね。
「セロトニンはストレスが多い現代人には欠かせない物質として、今、注目を集めていますよね。別名『ハッピーホルモン』とも呼ばれ、精神の安定を保つために重要な物質です。このセロトニンの分泌が減少すると、気持ちが落ち込み憂鬱になったり、心のバランスを崩しイライラしがちになったります」
バナナは生理前の女性の強い味方
――では、セロトニンを増やせばいいのでしょうか?
「そうですね。それらの症状に悩まされている人は、体内で減ってしまったセロトニンを作り出すために必要な物を、食べ物で補ってあげることが大切です。たとえば、セロトニンを作り出すのに必要不可欠なビタミンB6を多く含むカツオやマグロ、鮭などの魚。これらの魚を日々の食事で取り入れることが難しい人は、サラダや和えものなどにかつおぶしをプラスするだけでもOKです。
また、セロトニンが脳内で作られるための材料として必要な『トリプトファン』という必須アミノ酸を多く含んだチーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆製品、卵などもおすすめですよ」
――なんだか朝食に取り入れやすそうな食材が多いですね。
「確かにそうですね。朝食は1日のエネルギー源になるので、朝にこれらの食材を摂取できればベストですが、昼でも夜でも問題はありません。他にも、PMSの気分の落ち込みにおすすめの食材で、手軽な朝食としてもぴったりな食材がバナナです。バナナにはビタミンB6もトリプトファンも含まれているので、生理前の女性の強い味方なんですよ」
睡眠の質が下がる人には「ギャバ」がおすすめ
――「月経前になると、どれだけ寝ても眠くて仕方ない」という悩みもよく耳にします。そんな症状におすすめの食材はありますか?
「強い眠気だけでなく、月経前の時期になると『1日中ボーっとしてしまう』『集中力が低下する』といった症状に悩む女性も少なくないですよね。そんな方には、神経伝達物資である『ギャバ』を多く含んだ食材がおすすめです。
ギャバは脳や中枢神経に多く存在し、興奮した神経を落ち着かせ、リラックスさせる効果があります。睡眠をコントロールし、質の高い眠りへと促す効果があるとも言われているのでぜひ取り入れてみてください」
――質の高い眠りで夜間にきちんと身体と脳を休めることが大切なのですね。ちなみにギャバは何に多く含まれているのですか?
「ひとつが発芽玄米です。自宅で食べる白米を発芽玄米に変えてみてはどうでしょう。発芽玄米はハードルが高いという人には、トマトやジャガイモ、カボチャなどがおすすめです。発酵食品にも多く含まれているので、納豆やキムチなどでも良いですよ」
――自身の症状に合わせて、日々の食事に足りない食材をプラスすることが重要ですね。
「食事療法は長く続けることが大切です。今日食べたからと言って、明日症状が劇的に改善されるわけではありません。日々の食事に無理なくおすすめの食材を取り入れて、体質改善を目指してみてください」
株式会社ツインプラネットが運営するフェムテック情報共有サイト。《毎日をイキイキと、自分らしく過ごす》ため、《自分のカラダについての“知らなかった”をなくす》ことを目的に、女性の健康に関するコンテンツを公開している。
(フェムテックtv・小嶋 美樹)
高須 希代(たかす・きよ)
管理栄養士、公認スポーツ栄養士。東京都内の心療内科クリニックで15年間にわたり食事カウンセリングを行う。5000通り以上の食事記録をもとにアスリートへの食事指導も。現在はフリーランスの栄養士としてスポーツ栄養サポートや各種学校での指導、講演、レシピ開発などに携わる。