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「冬はもう近づいている」 住宅街で見つけた黒い物体 正体に約3万人注目

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ピカピカに磨かれたムクロジの種子(画像はスクリーンショット)
ピカピカに磨かれたムクロジの種子(画像はスクリーンショット)

 色づいた葉が落ち、少しずつ冬の気配を感じ始めました。街中を歩いていると、街路樹などから落ちた木の実を目にすることも。X(ツイッター)では、地面に落ちていたムクロジの実を収めた写真と動画が話題になっています。そこには、枯れた様子からは想像もできないような、美しい輝きを放つ種子の様子も。見事に種子をピカピカに磨き上げた方法など、投稿者の夏樹(@isurusescheri)さんにお話を伺いました。

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ムクロジには「子どもが患わないように」という願いも

 日本では、暖かい地域でみられるとされるムクロジ。漢字で「無患子」と書き、「子どもが患わないように」という願いが込められた縁起の良い木のひとつとしても知られています。

 落葉高木で、初夏に花が咲き、その後は小さくて丸い果実ができて、秋頃になると黄色く熟して木から落ちます。果実の中には1センチほどの黒くて硬い球型の種子が入っており、羽根つきの球などに使われることも。

 また、ムクロジは果皮にも特徴が。サポニンという石けんの働きをする成分が含まれており、果皮をつぶし、水に入れてかき混ぜると泡立ちます。洗浄力は強くないものの、汚れを落とす効果もあるそうです。

ピカピカに磨かれた種子に驚きの声

「ムクロジの実を拾った。落ちるのはもう少し後かな? と、思っていたが、冬はもう近づいているようだ。べっ甲色の果皮は石けんに、驚くほど堅く黒い種は数珠や根付けにされる」

 夏樹さんは、そんな書き出しでムクロジの写真と動画を投稿。写真には、細い枝についた黄色いムクロジの実や、割った果皮の中にある種子が収められています。果皮には小さくヒビが入り、種子は黒くくすんでいます。

 動画には、写真の中の種子からは想像できないくらい、ピカピカに磨き上げられた様子が。夏樹さんは種子について、「磨くと驚くほど美しくなり、呂色漆で塗って磨いた玉のようになる」と説明しており、動画に映っている種子は上品なツヤを放っています。

 美しく磨かれたムクロジの種子は注目を集め、2.9万件もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には、「こんなトゥルトゥルになるんだ」「すごい!!! 磨くとピカピカの真っ黒になるんですね!!!」「初めて見ました とてもきれいですね ずっと眺めていたい」「ムクロジ懐かしいです。学校に植わっていてよく実を拾っていました。でもこんなにピカピカにしたり果皮が石けんになったりすることを知らなかったので、ちょっともったいないことをしたなと。今度ムクロジ探ししてみようと思いました」といった声が寄せられています。

学生の頃に考え出した技で丁寧に磨き上げる

夏樹さんが街中で見つけたムクロジの実【写真提供:夏樹(@isurusescheri)さん】
夏樹さんが街中で見つけたムクロジの実【写真提供:夏樹(@isurusescheri)さん】

 子どもの頃から化石や鉱物など、身近な自然観察を趣味として習慣的に行ってきたという夏樹さん。ムクロジの実は、たまたま通りかかった都内の住宅街の道路脇に植えられていたムクロジの木の下で見つけたそうです。

 家に持ち帰り、果実から種子を取り出して、数種類の耐水サンドペーパーと金属研磨剤などを駆使して磨くこと2時間。傷ひとつない、ピカピカの“球体”が完成しました。磨き方は誰かに教えてもらったわけではなく、夏樹さんが考え出した技です。

「学生の頃、自然体験施設でボランティア活動をしているなか、新たな木の実工作ができないか、試行錯誤する過程で考え出したアイデアのひとつです。最後に磨いたのは2年ほど前で、なんとなく暇つぶしに磨きました。学生の頃、本気で取り組んでいた頃はヤコウガイやアワビの貝殻の破片を象嵌して、アクセサリーなどに加工していたこともありますが、今はそこまでする気力や時間はないですね~」

 自然に触れながら、植物や生物、鉱物の新たな魅力を見つける夏樹さん。次はどんな素敵な驚きを見せてくれるのか、楽しみですね。

(Hint-Pot編集部)