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激増する韓国人観光客 旅慣れ女性の定宿が“東銀座”の理由 「最先端と伝統が徒歩圏内」
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日本を訪れる外国人観光客が目に見えて増えています。日本政府観光局の調べによると、2023年10月の訪日外国人観光客数を国・地域別にみると、韓国が63万1100人と最多で、次いで台湾の42万4800人、中国の25万6300人と続きます。今や最大勢力となっている韓国人観光客ですが、東京での宿泊地は意外にも東銀座が人気といいます。数十回以上の訪日経験があるソウル在住の旅行愛好家で会社員・金由美(キム・ユミ、仮名)さんも今月中旬に訪日し東銀座を拠点に東京観光を楽しみました。それにしてもなぜ“東銀座”が好まれるのでしょうか。その理由を聞きました。
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築地場外市場で激安海鮮丼を堪能 お値段は800円
日本だけではなく欧州、東南アジアなど数々の海外旅行歴があるユミさん。30代半ばにして訪れた国は10か国以上ですが、東京での定宿はほぼ東銀座だといいます。その理由は「格安チケットを購入して訪日する場合、到着地は成田空港となります。特急券が必要な京成スカイライナーは使わず、京成アクセス特急に乗車すれば乗り換え0回で東銀座駅に到着します。所要時間は1時間17分。スマホをいじっていればあっという間に到着します」。
日本人はあまり意識していないかもしれませんが、東銀座には瀟洒(しょうしゃ)なビジネスホテルがけっこう多く建っています。ユミさんのお気に入りは築地場外市場に面する交差点付近のホテル。朝食込みで1泊1万3000円ほどです。やや高い気もしますが、ソウル市内で同レベルのホテルを予約すると1万5000円以上かかるためリーズナブルに感じるそうです。
旅慣れているユミさんが東銀座を選ぶ理由は他にもあります。「新宿、渋谷は人で混雑していますし空港からのアクセスに時間がかかります。東銀座のビジネスホテルに泊まると、銀座の目抜き通りまで徒歩10分ほどですし、周囲にはおしゃれなレストランやカフェもたくさんあります。今回泊まったホテルの朝食付プランはホテル1階のカフェ、徒歩4分の『築地魚河岸食堂』、徒歩2分の喫茶『KOMEDA is』のどれかを選んで食べられます。2日目の朝は『KOMEDA is』でヨーグルトサラダセットをいただきました」。
このホテルにはレディースルームが設けられており、通常より1時間遅い正午のチェックアウトが可能。日本のビジネスホテルの多くは午前10時チェックアウトとなっており、正午チェックアウトに慣れている一部の外国人観光客からは不満の声が上がっていますが、こうした点に配慮しているところも人気の理由のようです。一方で、ユミさんは成田空港や羽田空港から都心に向かう深夜バスが充実していないこと、JR、私鉄、地下鉄相互の乗り換えが煩雑なことに戸惑うといいます。しかし、それでも東京の街には魅せられています。
東銀座といえば、忘れてはならない有名観光スポットが築地場外市場。連日、中国や米国、欧州、東南アジアからやってきた外国人観光客でごった返しており、ビックリするほど高額な寿司や海鮮丼を目当てに行列を作っていますが、ユミさんは「3日目の朝は午前8時ごろに市場に出かけて海鮮丼をいただきました。800円と大変お得な値段でした。この日は昼の便で韓国に帰国したのでいい思い出になりました」と振り返りました。
少し足を延ばせば銀座三越や松屋などのデパート、ルイ・ヴィトンやグッチなど高級ブランドショップが立ち並ぶストリートに行けてショッピングも楽しめます。「世界最先端のファッションから日本の伝統文化に触れられる市場まですべてが徒歩圏内」(ユミさん)の東銀座。週末の土日に有給休暇を1日足してアクティブに海外旅行を楽しんでいるユミさんの場合、今回は“コンパクトな旅”でしたが、時間や予算を計算したうえでの行動です。1回あたりの訪日に使うお金を調整しているからこそ、何度も日本を訪れることができるわけです。訪日外国人トップが韓国人であるのは日本を身近に感じているユミさんのようなリピーターが多いからかもしれませんね。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)