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コンビニおにぎりの包装はがし 「頼めばいいのに」に大学教授「自分でやることに意味や価値がある」

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

包装をはがすときに苦労する人もいるコンビニのおにぎり【写真:写真AC】
包装をはがすときに苦労する人もいるコンビニのおにぎり【写真:写真AC】

 まひなどで片手が不自由な人のために開発された道具が注目されています。Xに投稿された「コンビニのおにぎりの包みを剥(は)がす装置」の動画を見ると、確かに両手を使わなくてもおにぎりの包装がきれいに取れています。動画を投稿した竹林崇@脳卒中リハの専門家, 作業療法士, PhD(医学)(@takshi_77)さんに詳細を聞きました。

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製作日数は2週間程度 滑り止めシートを数種類検討

「コンビニのおにぎりの包みをはがすのは難しいですよね。片手が不自由な方が『包みを外し、海苔をうまくおにぎりにつけるのが難しい』とおっしゃいます。そこで、友人の作業療法士、川口晋平さん(@shinpei_31)が『片手でおにぎりの包装を外し、海苔をきれいにつける道具』を作ってくれました。必要な方に届いてほしい道具です」。投稿の中でこう呼びかけた竹林さんは、大阪公立大医学部リハビリテーション学科作業療法学専攻の現役教授。日夜、リハビリテーションに役立つ装置の開発や環境作りに取り組んでいます。

 この“おにぎり装置”の開発には苦労もあったと制作担当の川口さんは語ります。「製作にかかった日数は2週間程度。包装を片手で引っ張る際に力が生じるため、しっかり本体を固定できるような器具裏の滑り止めシートを数種類検討しました」。完成品は実際に販売されるそうですが、あえて改善余地を尋ねると「使用する際は固定でき、外出先に持ち運びする際は簡単に外れるようにできれば。固定や取り外しをしやすくすることが課題です」。

 竹林教授はこうも指摘します。

「『おにぎりぐらい頼めばよいのに』とおっしゃる方もいます。確かに『頼んでくれたらやるよ!』といった善意の気持ちは多くの方が持っておられると思います。でも、当事者の中には『自分で自分のことをやることに意味や価値がある』とおっしゃる方もいます。そのお気持ちを支持する道具だと思います」

 実際に使った人からの感想や反響が寄せられているといいます。「外出先や勤務先で人に頼むことなく、自分でおにぎりを開封できるようになってうれしいとのお言葉をいただいています」と手応えをつかんだ川口さんと竹林教授。「今は片手で湿布を貼れる道具の開発を進めています」とさらなる研究の目標を語っていました。

片手でできる自助具販売元

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)