マロンペーストがたっぷりとデコレーションされ、上部には大きな栗がのったおいしそうなモンブラン。しかし、このモンブランは食べることができません。その正体は、なんと輪ゴムスタンドです。X（ツイッター）では、この斬新なアイデア雑貨に14万件の“いいね”が集まり反響を呼んでいます。制作者のAoi（@aobeco_art）さんに作品について詳しいお話を伺いました。

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こだわりが詰まったモンブラン風の輪ゴムスタンド

　3Dプリンターなどを使い、アイデア満載のユニークな文房具や生活雑貨を制作している3DクリエイターのAoiさん。SNSなどで発表しているAoiさんの作品は、日々の生活の中で「こんなものがあると楽しい」という視点で制作され、人気を博しています。

　今回注目を集めたのは、モンブラン風の輪ゴムスタンド。タルト生地をイメージした土台にはスタンドが立てられ、そこにバランス良く輪ゴムを重ねていくと、まるでモンブランのように。マロンクリームの上にのった栗のオブジェは取り外しが可能で、収納しやすくなっているなど、こだわりがたくさん詰まっています。

「設計や３Dプリント試作も含めると、投稿に至るまでにかかった時間は約１日。販売に向けてさらに設計を改良したので、作品全体が完成するまでに合計１日半かかりました。工夫した点は、土台のタルト部分と輪ゴムのサイズバランスです。『どう積み上げればモンブランに見えるか』というところにこだわって作りました。また、栗のフタ自体は3Dプリンターできれいに出力できるのですが、和栗っぽさを演出したかったため、アクリル絵の具でムラを出しつつ塗装しています」

　思わず食べてしまいたくなどおいしそうな作品は、X上でなんと14万件の“いいね”を集めて話題に。リプライ（返信）には「これは天才の発想」「これは、モンブラン好きには最高です！　緑のゴムで抹茶モンブランができますね」「思わず食べそうです」「これは買いたいしデスクに置きたい」などたくさんの人が虜になり、商品化を熱望する声が続出しました。

専業主婦になったのを機に3Dアーティストの道へ

　アイデア満載の輪ゴムスタンドで、たくさんの人の心をわしづかみにしたAoiさん。3Dクリエイターになったのは、専業主婦になったことがきっかけでした。

「2021年12月末に、それまで勤務していた消費財メーカーを退職。専業主婦になって急に時間ができたため、『何か日々アウトプットできるものを見つけたい』と思い、やりたいことを順番にやっていくうちに無料で利用できる3Dソフト（TinkerCADやBlender）に出合いました」

　それ以後、3Dの世界にのめり込んだAoiさんは、日々パソコンで3D画像を作ってはSNSで公開するようになりました。趣味として楽しんでいた数か月後、SNS経由で3Dモデリング教室から講師のオファーを受けたことをきっかけに3Dプリンターを購入。それまでは画像として作品を公開していたものが、実物として出力できるようになりました。

　思い描いていたものが形になり、実際に手で触れられるようになったことに喜びを感じたというAoiさん。作品を作るときには、いつも心がけていることがあります。

「考える際には、テーマを頭の中で決めてから想像を膨らませています。また、SNSの投稿を眺めたり、雑貨屋、文房具店、書店・図書館などを訪れ、ジャンルを問わず日々のインプットを増やすように心がけています。SNSでいただいたコメントからアイデアにつながることもあるので非常にありがたいです。ただ、ひとつのことに集中することが苦手なので、『思いついたままに作成して投稿』というのが現状です。今後は。何か軸を定めて作品展開することが目標です」

試行錯誤も貴重な経験　ほしいものを形にできる魅力

　これまで、3Dプリンターを使って数えきれないほどの作品を手がけてきたAoiさん。なかなか思い通りに作れず、試行錯誤したこともありました。どんなことも貴重な経験として、今の作品につながっているといいます。

「3Dプリンターのおもしろいところは、自分の欲しいものを形にできることです。生活するなかで『こういうものがあると便利だな』とか『こんなものが作れたらいいな』という場面に遭遇することがたくさんあると思うのですが、3Dプリンターと3Dモデリングの技術があれば、それを実現できるということに最大の魅力を感じています」

　Aoiさんの作品はどれもかわいらしく、つい手に取ってみたくなるものばかり。話題になったモンブラン風輪ゴムスタンドは、1月31日（水）までの期間限定で、BASEショップ「AobecoArt」で受注販売を受け付けています。

（Hint-Pot編集部）