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「どうやって撮ったんですか!?」 自由研究で撮影された風洞実験の様子にSNS仰天、手伝った親が明かす撮影のコツ

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

風洞実験の様子。運転席の上部に渦ができているのがよく分かる【写真提供:nikq(@nikq)さん】
風洞実験の様子。運転席の上部に渦ができているのがよく分かる【写真提供:nikq(@nikq)さん】

 今年も早くも9月に突入しました。子どもがいる家庭では夏休みも終わり、徐々に学校生活の日常を取り戻しているのではないでしょうか。夏休みに親が悩まされることといえば子どもの宿題。なかでも自由研究は毎年多くの人が頭を抱えることでしょう。その自由研究で、奇跡的に撮影できた1枚の写真が話題になっています。実験の経緯を聞きました。

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「実験内容の提案や実際の実験はすべて子ども」と背景を明かす

「撮影したデータを子どもと見ていたら、とてもきれいに風の流れが写っていたので、X(ツイッター)に載せたところ、予想外にバズってしまいました。現実の実験の大変さや、うまく行った時のうれしさなど、子どもにとっていい経験になったのではないかと思います」。お子さんの自由研究の準備を手伝ったというnikq(@nikq)さんは実験を行った感想をこう語りました。

「子どもの夏休み自由研究、風洞実験やりたいって言うから、手伝ったら、結構マジな渦が撮れて興味深い」と投稿したnikqさんのポストには1枚の写真が。トラックのミニカーの前方に白い煙が接近。そのままフロントガラスに当たった煙は、上に進み後ろへ流れていくものと、運転席の上部で渦を巻くものに分かれる様子が収められています。

 nikqさんが自宅のテレビで風洞実験のYouTubeを見ていた際に、お子さんが「自分もこれをやってみたい」と言い出したのがきっかけだといいます。「機材とカメラは私が用意しましたが、実験内容の提案や実際の実験はすべて子どもがやっています。自由研究をやるにあたり、『結果を予想してから実験し、観察と予想の差について考察する』という条件があったそうで、今回の風洞実験はそのテーマに沿っていてちょうど良かったようです」と実験の裏側を明かしました。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の公式サイトによると、風洞とは「固定した模型の周りに空気を流し、大気中を飛んでいる状態を模擬し、その模型に働く力やその周りの風の流れを計測する試験設備」を指すそうです。

 今回、nikqさんが行った実験の詳しい構造や詳細は「秘密」とのことですが、「以前から何バージョンか試してきて、最初は牛乳パックとストローで作りました。いろいろ試してみたところ、きれいな流れに重要な要素が絞りこめたので、100円ショップで買えるような素材をいくつか組み合わせて今の風洞になりました。例えば、多くの既存研究では、整流板をストローで作っているのですが、これは作業が非常に大変なので、全く違う素材で作っています。白い煙は普通の超音波加湿器です。ストローで風洞に導入していますが、よく水が詰まって大変です」と、試行錯誤した様子を話してくれました。

 約9000件以上のリポストと約3万8000件の“いいね”を集めたこの投稿には「空気の流れがきれいに映っていますね! すごいです!」「これは素晴らしい。自由研究の枠を超えている!」「どうやって撮ったんですか?」「どんな仕組みなんだろう」など、実験の高いクオリティーに対する驚きの声が多く寄せられています。どうしてここまできれいに撮影できたのか、実験と撮影を成功させるコツも伺いました。

「重要なのは、陰圧側でファンを使う点です。吸い込みの方が、気流が安定します。うまくやると、整流板なしでもかなりきれいなスモークトレールを見ることができます。今回の手法は数値的正確性を追い求めず、可視化に全振りしている手法です。レイノルズ数を考慮すると風速をかなり速くしないと現実に即しませんが、見たいのはあくまでも風の流れの傾向ですので、その方向にパラメータを調整しています」と、専門的な視点で解説してくれました。

 一見、難しそうな実験にも見えますが、「いくつかコツがあるものの、非常に単純なので、皆さんもぜひいろいろなアイデアで試してみてほしいです」と語ったnikqさん。今から来年の自由研究のテーマとして選ぶのもいいかもしれませんね。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)