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二十歳を迎えた長男のために母が続けた貯金 投稿がバズって長男が知ることに…「俺も将来やろーっと」に感動
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子ども用の貯金に込められた母の思い――。長男のために貯め続けた通帳を紹介したSNS投稿が反響を集めました。「1日100円貯金」を目指し、誕生日に1年分となる3万6500円を入金し続け、長男が二十歳を迎えた今年1月、ついに貯金が完了したそうです。投稿者の母は「産んでよかったよ」と感無量。ネット上で「ベストお母さん賞を差し上げます」との感激コメントが寄せられた、家族のほっこりエピソードを伺いました。
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「暗黒の反抗期は本当に辛かったけど、今しみじみ思う。産んでよかったよ」
「長男が1歳のとき長男名義で口座を作った。目的は『1日100円貯金』。でも毎日入金は面倒だから誕生日に1年分36500円を入金して通帳に一言書くことに。二十歳までと決めて、今その日がとうとうやって来た。暗黒の反抗期は本当に辛かったけど、今しみじみ思う。産んでよかったよ。二十歳おめでとう」。
こうX(ツイッター)に投稿したのは、エッセイスト・イラストレーターで、『買ってはいけない着物と着物まわり』(実業之日本社)などの著書がある、きくちいま(@imappage)さんです。「子ども3人、犬1匹の母をしていて、夫とわたしの両親が一緒に暮らしています」。会社員の長男は2024年1月28日に20歳の誕生日を迎えました。投稿は、まさに大事な記念日の思いを綴った内容です。
長男のためにコツコツ20年間、貯金をしてきた理由。「同居している実母からのアドバイスが大きいです。『子どもにお金がかかるのは高校生になってから! お金がかからない小さいうちに、頑張って貯金しておきなさい』『親は勉強しろと言うのは簡単だが、そう言ったからにはどこへ進学してもお金を用意する責任がある』とのことでした。進学だけでなく、車の免許を取るとか一人暮らしをするとか振袖を買うとか、何かしら必要になると思っていました」と話します。
今回、無事にやり遂げることができました。「子どもが小さい頃は『お母さんからのプレゼントはないの?』と言われたこともありましたが、3万円を超えるプレゼントを毎年しているんだけどな、と思いながらスルーしていました。どうやら『お母さんからのプレゼントは誕生ケーキ』と思ってくれていたようです」。
さらに、「途中で法改正があって『18歳から成人』となりました。18歳で終わりにすることも考えましたが、初志貫徹! と思い直して、予定通り20歳まで頑張ることにしました」と振り返ります。
こんなピンチを迎えたことも。「一度だけ、誕生日に入金するのを忘れて、慌てて入金したこともありました。それ以来スマホのカレンダーにスケジュールを入力して、アラームをかけたりして工夫しています」。それだけに、貯金完了で喜びもひとしおです。
通帳の余白に書き添えられた一言には、長男が中学時代に「トラックにはねられて集中治療室へ、、、生きてくれて本当によかった!!」といった大変な出来事も記載されています。救急車で3回運ばれたこともあるそうで、山あり谷ありの人生が読み取れます。
「子育てくらい思い通りにいかないものはないですね。特に思春期、反抗期はつらかったです。出口のないトンネルに入ったような、頭からざんぶりと水をかけられたような感じでした。途中から、お母さんは多少ダメなくらいでちょうどいいと開き直って、一生懸命になりすぎるのをやめました。子どもの人生とわたしの人生は違うんだし、『生あたたかく』見守ろう、と思ってからは気が楽になりました。あたたかく、ではないところがポイントです」。子どもの思春期を乗り越え、母としても成長し、立派に育て上げました。
長男がLINEで母に送った心温まるメッセージ
貯金額は20年分で約73万円。長男はどのように受け止め、どう使おうと考えているのでしょうか。ここにもエピソードが。
「実は、『無駄遣いするに違いない』と夫に言われ、渡すのは結婚など大きな機会のときに? とためらって、なかなか通帳を渡せずにいました。ところが、投稿がバズったことで長男の友達が長男に連絡して、通帳のことを知ってしまったんですね」。なんと、思わぬ展開になったそうです。「即LINEで『すげー感動する ありがとうございます』『しかもコメントもみんな優しい世界だね』『俺も将来やろーっと』と送ってきました」。長男が母に送った心温まるメッセージにまた感動です。
実際に直接通帳を見せたそうで、「長男は『こんなにメッセージが書いてあると無駄遣いする気になれない』とのことで、とりあえず何かあったときのためにブラックスーツを買うことにして、残りは何かのときに取っておくことになりました。本当はタイヤのホイールかなんかが欲しかったようですが、それは自分で働いたお金で買うそうです」。一張羅をそろえて、大人の仲間入りですね。
きくちさんは「110万円を超えると贈与税の対象になるそうですが、渡す段階での金額は73万円(閏年を入れると73万500円)です。ここから先は自分で貯めたいと言っていました。小さい額でも続けると大きくなると実感してもらえてよかったです!」と付け加えました。
投稿は約10万件の“いいね”を集めています。「毎年書き添える一言に、愛情と親子の歴史が凝縮されている、正に一生の宝物ですね」「ベストお母さん賞を差し上げます」「この通帳は一生の宝物になりますね」「ステキです 通帳に書かれたメッセージ泣ける」と大反響。共感や感動の声がたくさん寄せられています。
「通帳にメッセージやメモを書くときは印字された場所の空いたスペースに、と教えてくれた郵便局員さんがいたんです。まだ途中の状態でしたが、子どもへのメッセージと毎年誕生日に貯金していることを知って、『これはすごいです。もらった子はうれしいですよ。ぜひ他の人にも教えたい』と言ってくださったので、完了したら報告の意味も込めてアップしようと思っていました。まさかこんなに反響があるとは思っていませんでしたが」と、きくちさん。郵便局員さんとの秘話もあったのですね。
また、長男もSNSに寄せられたコメントを読んでいるそうで、「『ベストお母さん賞を差し上げます』というコメントのスクショを、息子はLINEで送ってきました。コメントがたくさんでお返事しきれないほどです。全部読んでいますが、褒められ慣れていないのでそわそわしちゃいますね。たくさんのメッセージを拝見して、やっと大きな壁を乗り越えたんだなぁと泣けてきました。生まれた体重を金額にして口座を作った方が何人かいらして、その手があったか! と大発見した気分でした」。きくちさんも感謝と感激の思いでいっぱいです。
オリジナルの通帳にはさらなる工夫もできそうで、「いつも黒い0.5ミリのボールペン(メーカーはさまざま)でメッセージを書いていたのですが、カラフルなペンを使ってもよかったですね。さらに写真をシールにして貼ってもよかったかも」とのことです。
子育てアドバイス「思春期や反抗期は必ずあるもので、いつか収まります」
子育てがより大変になってきている現代社会。悩みを募らせ、苦労を重ねている親御さんも多いでしょう。きくちさんは前を向くためのメッセージを聞かせてくれました。
「思春期や反抗期は必ずあるもので、いつか収まります。小さい頃は毎日必ず一回は『大好き!』と言葉にして抱きしめていたりしたのですが、思春期になるとなかなかハグもさせてもらえません。でも、小さい頃のハグや言葉が子どもたちの栄養になっていると思います。
あるとき、息子が小学校低学年のときだったと思うんですが、講演か何かで『女親は男の子をカブトムシだと思って育てなさい』と聞いたんです。家と餌と水があれば大きくなるから、干渉しすぎずに、という意味だったんですが、カブトムシ!? と衝撃でした。余計なことは言わないで、でも言うべきことはきちんと向き合うのが大事みたいです」。
きくちさんの子育ては終わっていません。「わたしは子どもが3人いますが、保育士さんに『子どもが3人いる親は、漢字の山の字を意識して』とアドバイスいただきました。真ん中を高く、つまり真ん中が一番おろそかになりやすいから気をつけてあげて、という意味だそうです。今回長男の1日100円貯金が完了しましたが、まだあと2人分残っています。忘れずに入金しなくては」。残り2人のお子さんにもありったけの愛情を込めて、1年1年コツコツと貯金を続けていくそうです。
着物の楽しみを伝えたいエッセイスト・イラストレーター。着物専門の小冊子『月刊アレコレ』、京都きもの市場のサイト『きものと』などでイラストエッセーを連載したり、菱屋カレンブロッソや季織苑工房など企業とのコラボでものづくりに取り組んでいる。きくちいまオリジナル製作委員会で毎年作る本麻長襦袢『彩加』も人気。
きくちいまさんの公式サイト
https://imappage.net/
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)