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ドロドロのニンジン、カゴは蹴とばしながら… 日本ではありえない英国スーパーの衛生事情

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

英国の大手スーパーマーケット「テスコ」の店内【写真:Getty Images】
英国の大手スーパーマーケット「テスコ」の店内【写真:Getty Images】

 きれいに洗われた野菜やひび一つない卵など、日本のスーパーマーケットへ行けば、形も良く衛生的な商品が手に入るのは当たり前のことです。しかし、海外ではそんな常識が覆されることも? ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第19回は、英国のスーパーで感じた、日本との衛生観念の違いです。

 ◇ ◇ ◇

びっくりする衛生観念と雑さ

 英国に来てまず驚いたのは、トイレの回でも触れましたが、衛生観念でしょうか。この衝撃を受けた衛生観念の違いは、食品を扱うスーパーでも同様で、日本だとあまり見かけない光景に遭遇することが日常茶飯事です。

 とくに衝撃的だったのは、床に直接置いたスーパーのカゴを蹴りながら、買い物する人々がいること。シリアルなどの箱物だけを入れているならまだしも、何にも包まれていない生の野菜などもバッチリ入っているのが見えます。

 そうしたスタイルで買い物する人の理由は、おそらくただ単に重いからなのだと思います。ですが、そのカゴは拭かれることもなく、次の人が使えるようにすぐに積み重ねられるので、自分がたまたま手に取ったカゴがそのように使われていたものだとしたら……と考えるとゾッとしますよね。

 そのようなこともあり、よっぽどなことがない限りカゴは使わず、自分のエコバッグに直接入れる方式をとるようになりました。

 最初は万引きしているように見える気がして憚られていたのですが、周囲を見渡すと、そういう買い物スタイルをしている人は多いので、とくに怪しまれることはありません。しっかり会計を最後にすれば大丈夫です。

 さらによく見かけたのが、冷蔵庫の扉が開けっぱなしなこと。やはり中の商品がダメになったりしないのかなど心が痛むので、自分は使っていなくても、見かけるたびにそっと閉じてしまうことがよくありました。

厳しい目で商品を確認する必要性

安さと品揃えが評判の独系スーパー「アルディ」にて【写真:Moyo】
安さと品揃えが評判の独系スーパー「アルディ」にて【写真:Moyo】

 そんなふうに扱われている商品なので、購入するときはかなり入念にチェックします。冷蔵に並んでいるサラダに使える袋入りキャロットなどが、ドロッドロになった状態で売られていることは珍しくありません。せっかくの旬のイチゴが潰れて変色してしまった状態もよく見かけます。

 卵を買うときは、絶対に箱を開けてよく確認。上からパッと見て大丈夫だと思っても、実は下に亀裂が入っていて漏れていた、なんていうこともあります。

 牛乳を買ったら、フタのすぐ下に付いているべき中の銀シールがはがされていた、ということがありました。そういうタイプの商品なのかな? と思いつつ、一般的には絶対付いているものなので、お店に確認したところすぐに返金してもらえました。

 気をつけるのは、生鮮食品だけではありません。袋が開いてしまっているもの、箱に破損があるシリアルなどが、そのまま売られていることも。フードロスは申し訳ないと思いつつ、あまりにダメージを受けた状態のものはなるべく避けるようにしていました。

 さらに、商品を元の場所に戻すという考えが薄いのか、まったく関係のないものから似ている商品まで、あちこちの棚へランダムに置かれていることも。札だけ見て手に取ったら、気づかないうちに誤って違う商品をカゴに入れていた、なんてことがあります。

 このような少しカオスな状況は、安めのスーパーで起きていることが多く、客層やスタッフ不足など、いろいろな要因が重なっているのかもしれません。その分、高級スーパーに分類される「マーク&スペンサー」や「ウェイトローズ」に行くと、そのきれいさと整然と並べられた商品に安心感を覚えます。

 フランスに移住してからは、そこまでひどい状況には遭遇したことはないので、英国特有のスーパー事情かもしれません。