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4年に一度の「ニンニクの日」 栄養士に聞いた ニンニクが「風邪予防に良い」とされる理由
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教えてくれた人:和漢 歩実
2月29日は、4年に1度の「ニンニクの日」。風邪が気になる季節には、ニンニク料理でスタミナをつけようとする人も多いでしょう。なぜニンニクを食べると元気になるといわれるのでしょうか。また、栄養パワーがあるからこそ食べすぎると、「逆効果」になることもあるようです。記念日にちなみ、ニンニクの栄養メリットと逆効果について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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ニンニクが持つ独特の刺激臭にさまざまな効果が
ニンニクが「風邪予防」や「スタミナ回復」に良い食べ物といわれるのは、「アリシン」という成分にさまざまな効果が期待されるからです。アリシンとは、生のニンニクが持つ独特の刺激臭のもととなる成分。ニンニクを刻んだり、すりおろしたりすると、アミノ酸の一種であるアリインが分解され、アリシンが発生します。
アリシンには、抗菌・殺菌作用があり、食中毒予防効果が期待されます。また糖質の代謝を促すビタミンB1の吸収をサポートして疲労回復、血流を促すことから「血液サラサラ」の効果があることでも知られています。さらに、血糖値の上昇をゆるやかにしたり、悪玉コレステロールを減らしたりするなど、生活習慣病の予防対策も期待できるでしょう。抗酸化作用が強く、がんなどの生活習慣病のリスクを減らす可能性も注目されている成分です。
アリシンは熱に弱い成分ですが、油と一緒に調理することで分解されにくくなります。ニンニクと食材をオリーブオイルで煮込んだスペイン料理のアヒージョ、またオリーブオイルにニンニク、唐辛子を加えたイタリア料理のペペロンチーノなどは、アリシンを熱から守る理にかなった料理といえるでしょう。
ニンニクは高温の油に入れるとすぐに焦げてしまうため、先に油と一緒にフライパンなどに入れてから弱火でじっくり火を通すと、香りも良く仕上がります。
食べすぎで起こる逆効果とは? 空腹時もNG
さまざまな効果が期待できるアリシンですが、刺激が強い成分でもあります。そのため、ニンニクを食べすぎると「逆効果」になることも。胃腸の粘膜を傷つけ、胃痛や腹痛などを起こすことがあります。とくに生で食べる場合は気をつけましょう。空腹時にニンニクを食べるのも避けてください。
ニンニクのアリシンは殺菌作用も強いので、腸内にいる善玉菌にも影響を及ぼすことがあります。腸内環境を悪化させて、下痢や便秘などの症状を引き起こすことも。体が弱っているときは、胃腸も敏感です。体力やスタミナをつけようとしてニンニクを大量に食べてしまうと、かえって不調になることがあります。
ニンニクの適量には個人差がありますが、1日1~2片(5~10グラム)程度を目安に。風邪予防など体調管理には、栄養バランスの良い食事や十分な休息、適度な運動など規則正しい生活が基本ですが、ニンニクの栄養パワーを上手に取り入れましょう。
(Hint-Pot編集部)