子どもたちが学んだ内容をどのくらい理解しているか確認するのに、とても大切なテスト。返却された答案を見ていると、ときに子どもならではの柔軟な発想や着眼点にハッとさせられることがあります。X（ツイッター）では、10歳女児の理科の答案が6.8万件もの“いいね”を集め、大きな話題を呼んでいます。先生も思わずうなった答えとは、どんなものなのでしょう。投稿者の野生のサツマイモ研究家（@parfaitthestudy）さんに、詳しいお話を伺いました。

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先生も思わず「たしかに！」とコメント

　大きな反響を呼んだのは、理科の答案用紙です。単元は「春の生き物について」で、まずは「あなたが、1年を通じて観察した生物を1つかきましょう」という設問があります。続いて「これから春になると、上で答えた生物はどうなると思いますか。予想しましょう」との問題が。

　知識を問うことだけでなく、“考える力”を重視する、現代の学校教育を感じさせる問題です。さまざまな正解が考えられますが、いったいどんな答えが記されているのでしょうか。

　最初の解答欄には「人間」。そして続く問題には、「かふんしょうがはげしくなる」と答えています。採点した先生は二重丸をつけ、「たしかに！」とメッセージが。端的なコメントには、先生の納得の深さがにじみ出ているようです。

　この答案用紙が投稿されると、6.8万件もの“いいね”が。リプライ（返信）には「天才！」「100点すぎる答え!!w」「核心をついたキレッキレの回答だ」「神回答と神対応」「これを丸にしてくれる先生も良きですね」「先生のコメントもうれしいですね」「目からウロコ。先生のコメントも素晴らしい！」など、子どもならではの発想力と、それを評価する先生に多くの称賛の声が寄せられています。

「自由に空想しているタイプ」の娘さんからお願いも…

　テストの答案で深い洞察力を発揮したのは、「絵を描くことが好きで、授業中も割と自由に空想しているタイプ」だという、投稿者さんの10歳の娘さんです。

「かふんしょうがはげしくなる」のは娘さんの父のことで、鼻血が出るほどひどい状態になるのだとか。

　今回の投稿が大きな話題になったことに、投稿者さんは「先生の寛大な丸を見てもらえて、うれしいです」と話し、娘さんの答えに共感してくれた先生をとても信頼しているようです。

　答案用紙を投稿することについては、娘さんも了解済み。そして、取材をするにあたって、実は娘さんから、ひとつお願いがありました。

「子どもはみんな、心配なく毎日を過ごす必要があるはず。親がいないことで、勉強したい人が勉強できないのはもったいないから。私の『人間』の答えに“いいね”してくれた人は、勉強することが大事だとわかってくれるはずだと思う」

　そう言って、親を亡くした子どもたちや、障がいで働けない家庭の子どもたちに、教育支援や心のケアを行う団体「あしなが育英会」について、紹介してほしいというのです。

　同団体が「世界中すべての遺児が平等に教育の機会をもてる社会」になるよう、幅広い活動で寄付を呼びかけていることに、娘さんは感銘を受けているそう。自分と同じように、のびのびと勉強できる子どもたちが増えることを心から願っていました。

　素晴らしい観察力と着眼点、そして思いやり深い心を持つ10歳の女の子の願いが叶うよう、応援したいですね。

（Hint-Pot編集部）