Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

話題

ストリートピアノを85歳の父にむちゃぶり… 温かい拍手に涙の娘 「なんて素敵な音なんでしょう」と感動の声

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

ストリートピアノを演奏した85歳の父(画像はスクリーンショット)
ストリートピアノを演奏した85歳の父(画像はスクリーンショット)

 いまやすっかり定着したストリートピアノにまつわる感動エピソードがネット上で話題になっています。ピアノを弾いたのは、なんと85歳の父。温かい拍手に包まれたその“会場”は、家族にとって忘れ得ぬ感動のひとときになったそう。投稿した町不動産(@machirealestate)さんに詳細を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

「待って待って!85歳??」とネット驚愕 熟練の技に感激

「ジャズピアニストを数年前引退した父85才に無茶振りしてヨドバシのストリートピアノ弾いてもらったら人集まってきて拍手貰いました
この指10本で育った私 泣いた
ずっと元気でいて」

 5日、町不動産さんが父の演奏する動画を添えてX(ツイッター)上に投稿すると、4.3万件の“いいね”が寄せられる反響に。「なんて素敵な音なんでしょうか」「待って待って!85歳??」「鍵盤ある所では生涯スターですね」「これまた選曲が素敵過ぎます」など、多くの称賛の声が上がりました。

 町不動産さんよると、父は1963年ごろから2017年7月まで大阪・北新地のクラブでプロのジャズピアニストとして活動。キャリア50年を超えるベテランの音楽家だったそうです。

 もちろん、自宅にはピアノがあり、若いときから、鍵盤に向かう父の姿を見てきました。

「子どもの頃はオフの日にずっと父がピアノを弾いていましたね。クリスマスには父のクリスマスメドレーが流れている家でした」

 数えれきない思い出。しかし、17年に引退後は、自宅にピアノを置かず、練習する機会もなかったそうです。

「引退してからはピアノに触れる機会がなく、介護施設や養護施設へボランティアで演奏に行きたいなあとかたまにつぶやいていますね」と、ピアノが身近にあった生活は一変していました。

 しかし、またピアノを弾きたいという気持ちを知っていた町不動産さんは、その機会を探していました。

 そして、ついにそのチャンスが訪れます。

「きっかけとしては東京に住む私の妹と甥っ子が久しぶりに帰阪し、父と梅田でランチするというので私が誘われ、たまたま我が家に帰ってきていた娘(23)と息子(25)も連れてランチに行くことに。前日に娘が『じーじのピアノ聞きたい』と言ったためストリートピアノをネットで探していたところ、ルクア大阪の地下2階にあるとの情報を得てルクアに電話をしました。すると現在はやっていないとのことでヨドバシが候補に上がり、当日父に頼んだら快諾してくれたためランチ後みんなでヨドバシのストリートピアノに行き演奏してもらいました」

動画再生135万回 温かい称賛の言葉が鳴りやまない

 いくら元ジャズピアニストとはいえ、状況を考えれば確かにむちゃぶりだったかもしれません。でも、父は二つ返事で快諾してくれたといいます。

 演奏したのは、「愛の讃歌」「night&day」、続けて「枯葉」「ひまわり」「Sermonette(Cannonball Adderley)」などで、娘の町不動産さんにとってもなじみ深い曲でした。動画を聞くと、一音一音が柔らかく、聞く者の心に訴えてくるのが分かります。テンポの速さや音の大きさを競いがちなストリートピアノですが、明らかに一線を画す熟練の技でした。

 自然と沸き起こった拍手に、父は「拍手については慣れてる感じで会釈していましたね(笑)」と感謝。聴衆の中には動画を撮る外国人の姿もあるほど注目を集めたそうです。

 Xに投稿した動画は、135万回再生を記録。

「お店で通算すると、50余年何万人の方に聴いていただいてはいると思いますが、今回のように一度に135万人という多くの方にピアノ演奏を聴いていただく機会ってありえないと思うんです。また、街や店で演奏したとしても感想が活字で残ることはなく、多くは流され消えていくもの。なのにこのように多くの方に温かい称賛の言葉をたくさんいただき、父を誇りに思うと同時にありがたくて涙が出ました。いただいた言葉や想いはずっと心に残ると思っています。SNSって嫌なこともあるけどこんな風に日本の片隅の、今はおじいちゃんになった父にスポットライトを当ててくれて、拍手を送ってくれて、本当に優しい世界だなあと思いました。機会あればまた父の演奏を録画して聴いていただきたいと思っています」と、町不動産さんは結びました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)