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「茶柱が立つと縁起が良い」のはなぜ? 見つけたときにやってみたい3つのこと
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昔から日本人に親しまれてきたお茶には、「茶柱が立つと縁起が良い」との言い伝えがあります。なぜ、そういわれるようになったのでしょうか。また、茶柱を見つけたら、縁起を担ぐためにどうすれば良いのか、さまざまな説があります。日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、お茶にまつわる言い伝えについてです。
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縁起が良いのは「お茶を売る戦略」でもあった?
日本茶の原料は主に葉の部分ですが、茎の部分も一緒に入っていることがあります。茶柱とは、お茶をいれた際に茶碗の中に縦になって浮いた、お茶の茎のことです。お茶の中に立った柱のように見えますよね。
「茶柱が立つと縁起が良い」といわれる理由には諸説ありますが、「めったに起こらないことだから」だとするのが有力です。茶柱が立つためには、茶葉に混ざった茎の存在、茶こしの目の粗さ、水分の吸収や注ぐスピードなど、さまざまな条件が重なる必要があります。そのことから、茶柱が立つと幸せの予兆として縁起を担いできました。
一方で「お茶を売るための戦略」だったとする見方もあります。お茶を売る商人が、茎の混ざった番茶などが売れるように「茶柱が立つと縁起が良い」と言い始めたのがきっかけで、各地に広まっていったとする説です。
ちなみに、品質の良い高級茶に茎が混ざっていることはほぼありません。そのことから、茶柱が立ったお茶をお客さんに出すことは失礼だという考え方もあります。出した相手によっては、品質が良くないお茶を出されたと気にすることもあるからです。
もし茶柱が立っていたら、するべき3つの説
自分のお茶に茶柱が立っていた場合、どうすれば良いでしょうか。縁起を担ぐためにさまざまな言い伝えがあります。3つを紹介しましょう。
○その1 何も言わない説
茶柱が立ったことをほかの人に言うと、良いことがその人に移ってしまうので、何も言わない
○その2 茶柱を飲み込む説
茶柱が立ったことをほかの人に知られる前に、茶柱を飲み込み、良いことを逃さないようにする
○その3 茶柱を取っておく説
立った茶柱をそっと取り出し、着物の左袖に入れておく
現代は、ペットボトル飲料やティーバッグで飲むことが多いため、そもそもお茶の茎を見ることはないかもしれません。この機会に、急須でお茶をいれてみてはいかがでしょうか。煎茶に比べて、茎が混ざりやすい番茶のほうが、茶柱が立つ確率は高いといわれています。もしも茶柱が立っていたら……。誰にも気づかれないように、そっと飲むのが良さそうです。
(鶴丸 和子)