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「国を超えて人を惹きつける魅力」がある日本の人気作家 駐在夫がNYで驚いた光景とは

公開日:  /  更新日:

著者:ユキ

ニューヨークにも村上ファンとアンチ村上

ニューヨークの書店には村上春樹作品が数多く並び、ポップまで飾られている注目ぶり【写真:ユキ】
ニューヨークの書店には村上春樹作品が数多く並び、ポップまで飾られている注目ぶり【写真:ユキ】

 ニューヨーク公共図書館が開催しているESL(English as a Second Languageの略で、英語を第二言語として学ぶ人を対象にしたクラス)に通っているのですが、あるときそこの先生(コロンビア大学を卒業していて、日本についても造詣が深い)がこう言いました。

「実際のところどうなのかな、村上春樹の小説って。主人公は自意識過剰でちょっと鼻につくし、性的な描写も多いし」

 すると、後ろで事務作業をしていた図書館スタッフの女性が「村上春樹はおもしろいじゃない。とてもクールよ」と話に入ってきます。

 そのあたりは、日本での村上ファンとアンチ村上のやりとりと変わりません。コンテンツに、国を超えて人を惹きつける魅力があるということでしょう。

 ニューヨーク公共図書館には、「SimplyE」という電子書籍の貸出・閲覧ができるアプリがあります。電子書籍なので、本来は一度に何人でも読むことができるはずなのですが、貸し出し冊数が決まっていて、制限冊数を超えている場合は、通常の書籍を借りるのと同じように返却されるのを待つ必要があるのがおもしろいところ。

 それを使えば、「ノルウェイの森」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「1Q84」など、多くの村上作品を読むことができます。

 先日、地下鉄で「アンダーグラウンド」(1995年に起きた地下鉄サリン事件の被害者や関係者へのインタビューからなる、村上作品としては珍しいタイプのノンフィクション)を読んでいる人を見かけました。どんな感想を持ったのかが気になるところです。

(ユキ)

ユキ(ゆき)

都内の出版社で編集者として働いていたが、2022年に妻の海外赴任に帯同し、渡米。駐在員の夫、「駐夫」となる。現在はニューヨークに在住し、編集者、学生、主夫と三足のわらじを履いた生活を送っている。お酒をこよなく愛しており、バーめぐりが趣味。目下の悩みは、良いサウナが見つからないこと。マンハッタン中を探してみたものの、日本の水準を満たすところがなく、一時帰国の際にサウナへ行くのを楽しみにしている。