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暑いときに「辛いもの、酸っぱいもの」が食べたくなるのはなぜ? 栄養面のメリットなどを聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
暑くなると、辛いものや酸っぱいものを欲する人がいますが、それはなぜなのでしょうか? 人間には、必要とする食べ物を求める力が本能的に備わっているといわれています。無性に辛いものや酸っぱいものを食べたいときには、実は不足している栄養素がある可能性もあるようです。辛いもの、酸っぱいものに含まれる栄養成分や暑さとの関係、辛味や酸味に期待できることについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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辛いものには体内を温め発汗させて、冷やす効果がある
暑い季節に辛いものを欲する理由として、発汗作用が挙げられるでしょう。唐辛子などに含まれる辛味の成分カプサイシンには、体を温めて発汗を促す作用が期待できます。体の中を温めて適度に汗をかくことで、体温を下げて外の暑い気温との調整を図ろうとすることが、辛いものが食べたくなることに関係していると考えられます。
辛いもので体が温まってくると、基礎代謝が活発になり、免疫機能が高まります。また、適度な辛味は胃や腸の粘膜を刺激。消化液の分泌を促進して、食べ物の消化や吸収を助ける働きにも期待できます。ただし、大量に摂取すると、感覚神経を麻痺させたり、粘膜を傷つけたりすることも。必要以上に汗をかきすぎると、今度は体力を消耗してしまうおそれもあるので、辛いものはほどほどの量にしましょう。
一般的に、辛いものを無性に欲しているときは、ストレスを感じているときともいわれます。これは、辛いものを食べるとエンドルフィンなどの幸せホルモンが分泌されるためです。しかし前述の通り、辛いものの大量摂取は逆効果。運動や趣味などで気分転換やストレス発散方法を見出すと良いでしょう。
酸っぱいものは、疲労回復やミネラル吸収に
また、暑さで疲れてくると、酸っぱいものが食べたくなることも理に適っているといえます。理由は、主に梅干しや柑橘類、酢などに含まれる酸味成分であるクエン酸が、疲労物質といわれる乳酸を分解し、新陳代謝を促して、疲労回復効果を期待できるからです。酸っぱいものを食べて、疲れを取ろうと意識が向くのではないかと考えられます。
クエン酸は、体内に吸収しにくいカルシウムなどのミネラルと結びつき、吸収しやすい形に変えるキレート作用も期待できます。クエン酸やミネラルを含む梅干しに湯を注いだ梅湯は、水分とミネラルが不足することで起こる熱中症対策におすすめといえるでしょう。
もしクエン酸を補給しても疲労が解消されない場合は、エネルギー代謝の補酵素であるビタミンB群が不足している可能性があります。エネルギー源の主要である糖質の補酵素である、ビタミンB1が多い豚肉や玄米などを積極的に食べると良いでしょう。ビタミンB1の吸収率を高めるアリシンを多く含むニラやニンニク、らっきょう、ネギ類などと一緒に摂るとさらに効果的です。
このほか、酸っぱいものを摂ることで、唾液がたくさん分泌され、消化吸収を促すともいわれています。暑さで疲れたときや食欲が減退したときも、酸っぱいものなら食べやすいと感じるのは、こうした作用があるからでしょう。
辛味や酸味の代表とは 「辛くて酸っぱい味」の食べ物はある?
辛味の代表といえば、唐辛子、コショウ、カレー粉、ワサビ、からし、ラー油、山椒などがあります。酸味では、梅干しや柑橘類、酢などです。
ちなみに、辛くて酸っぱい味の食べ物でいえば、キムチが挙げられます。そのまま食べても良いですが、冷ややっこのトッピングやチャーハンの具に、また暑い季節ですがキムチ鍋などにしてもおいしく食べられます。ほかにも、酢にラー油を合わせて作る鶏ガラベースの酸辣湯(サンラータン)も、辛くて酸っぱい食べ物として人気です。
辛いもの、酸っぱいものを適度に取り入れて、暑さを乗り切りましょう。
(Hint-Pot編集部)