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佃煮としぐれ煮の違いとは? ごはんのおともになる簡単な作り方 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

ごはんのおともにおいしい佃煮(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ごはんのおともにおいしい佃煮(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ごはんのおともである佃煮。主な食材には、海苔、貝類、海藻、小魚などがあり、日本の食卓に欠かせない存在です。同じくごはんのおともとして、しぐれ煮もあります。いったい、何が違うのでしょうか? 6月29日は佃煮の日。記念日にちなみ、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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佃煮が誕生したきっかけは「本能寺の変」

 佃煮の誕生には、諸説ありますが、明智光秀が織田信長を襲撃した「本能寺の変」までさかのぼるとわれています。堺に陣取っていた徳川家康が、自分も命を狙われるかもしれないと感じ、三河に逃げ戻ろうとした際に、行く手を川に阻まれて足止め。その際に近くの佃村(大阪市西淀川区)の漁師たちが、漁船を集め、さらに食料として保存がきく小魚煮を提供し、徳川家康の窮地を救ったといわれています。

 家康は江戸幕府を開くと、佃村の漁師たちを江戸の小島(東京都中央区)に呼び、特別な漁業権を与えたそうです。移り住んだ漁師たちは、故郷の佃村にちなみ、小島を「佃島」と名づけ、小魚煮を「佃煮」として売ったのが始まりとされています。佃煮は440年以上経った今も、日本の食卓で親しまれています。

 ちなみに「佃煮の日」は、全国調理食品工業協同組合が制定。佃煮発祥の地で佃島の守り神である住吉神社が建立されたのが正保3年(1646年)6月29日であることから、「29」と「ツク」をかけて、6月29日になったそうです。

日本各地にさまざまある佃煮の種類

 佃煮とは、魚介類や野菜、のりなどをしょうゆやみりん、砂糖などで甘辛く煮詰めた加工食品です。いずれも素材をまるごと使用するため、各素材の多くの栄養素を摂取することができます。

 日本各地には、さまざまな佃煮があります。たとえば、昆布やアサリ、小エビ、シラスなどを利用した水産佃煮、ふきや葉唐辛子、豆など利用した農産佃煮、イナゴやはちの子などの昆虫、クルミなどを利用したその他の佃煮などです。

しぐれ煮は佃煮の一種 ショウガを加えるのが特徴

 しぐれ煮は、佃煮の一種です。基本的には、佃煮と同じく、しょうゆベースの甘辛い味つけになります。ただし佃煮と違う点でいえば、しぐれ煮は「ショウガ」を加えることです。佃煮と比べると、その分さっぱりとした味わいになります。

 元々しぐれ煮は、三重県桑名市で獲れる肉厚のハマグリを使って作られたもので、江戸時代には徳川家に献上されていたといわれています。名の由来には、諸説あります。ハマグリのむき身をたまりじょうゆでサッと煮る様子を、冬の通り雨の「時雨」にたとえたという説や、ハマグリがおいしい季節が時雨の時期だからという説などです。

 現代ではハマグリのほか、アサリや肉、野菜などを使ったしぐれ煮もあります。