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夏バテに「ネバネバ食材」が良いといわれるのはなぜ? ネバネバ成分の正体とは 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

納豆のネバネバの正体と含まれる栄養

 納豆のネバネバは、納豆の発酵過程で納豆菌が産出するたんぱく質分解酵素、ナットウキナーゼによるものです。血液をサラサラにして、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの原因となる血栓を予防する効果が注目されています。ただし、ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している人にとって、納豆はビタミンKを多く含み薬の作用を弱めてしまうため、おすすめできません。

「畑の肉」といわれる大豆を原料とする納豆は、たんぱく質が主成分です。アミノ酸のバランスに優れ、効率的にたんぱく質を摂取でき、疲労回復の効果が期待できるでしょう。夏バテによる食欲不振で肉などをあまり食べたくないときも、納豆から良質なたんぱく質を摂取できます。

山芋のネバネバの正体と含まれる栄養

 山芋のネバネバ成分は、糖たんぱく質といわれるものです。胃などの粘膜を保護し、胃潰瘍などの予防や血糖値やコレステロール値の改善が期待されています。

 山芋はでんぷん分解酵素アミラーゼを豊富に含むため、生で食べることができ、消化が良いのが特徴です。蒸し暑い季節、不調になりやすい胃腸をいたわり、消化吸収を助けてくれます。アミラーゼは熱に弱いため、すりおろして生で食べるのが最も効果的です。だしで割るときも、だしが冷めてからにしましょう。

 生の山芋を扱う際、皮膚にかゆみが生じることがあります。これはアクの成分であるシュウ酸カルシウムが原因です。シュウ酸カルシウムは酸に溶ける性質があるため、手がかゆくなったら酢水で洗うと良いでしょう。

 食は体の資本。ネバネバ食材の栄養メリットを活かしながら、暑さを乗り切りたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾