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蓄積したストレスが慢性化し「七月病」に 五月病との違いとは 精神科医が解説
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新年度を迎えて3か月が過ぎ、張り詰めていた気持ちがゆるむ時期。今年は全国的に梅雨入りが遅く、降ったら大雨、晴れたら猛暑など天気の変化に体がついていけず、なんとなく不調を感じるときがあるかもしれません。溜まっていた疲れやストレスが心身に現れ、会社へ行くのがつらい人もいるでしょう。もしかしたら、それは「七月病」によるものかもしれません。この時期に気をつけたい七月病について、原因や五月病との違い、改善策などを、東京大学医学部精神神経科医局所属で和クリニック院長の前田佳宏先生に解説していただきました。
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七月病は誰にでも起こる可能性が
いわゆる五月病とは、新しい環境に適応するストレスが原因で、ゴールデンウィーク明け頃に心身の不調が現れることをいいます。主に、4月に新入生や新入社員など、環境に大きな変化があった人に多くみられることで知られています。症状は、無気力、憂鬱感、倦怠感、食欲不振、不眠などです。
「七月病」は、祝日がなく疲れが溜まりやすい6月を経て、五月病の症状が長引いたり、ストレスがさらに蓄積したりすることが原因で、7月頃に慢性的な適応障害として現れることをいいます。
五月病と七月病はいずれも症状は共通していますが、五月病は初期ストレスとして急性の適応障害が現れるのに対し、七月病は徐々に進行し、慢性的にストレスが蓄積された状態で現れる点で違いがあります。また七月病は、五月病と違って環境の変化のあるなしにかかわらず、誰にでも起こる可能性があることが特徴です。
とくに七月病になりやすい人の傾向としては、几帳面で真面目、責任感が強い、自己主張が苦手、ストレスを溜め込みやすいなどが挙げられます。また、環境に適応しようと無理をしすぎる人や、周囲の期待に応えようと頑張りすぎる人もリスクが高いといえるでしょう。
必要に応じて医療機関の受診を
改善策としては、ストレスの軽減が重要です。具体的には、十分な休息と睡眠、適度な運動を取り入れることが推奨されています。無理をせずに自分のペースで仕事を進めることが大切です。不調を感じたらひとりで抱えず、周囲に相談してください。必要に応じて、カウンセリングやメンタルヘルスの専門家に相談するのも有効です。
症状がとくに重かったり、長引いたりしている場合は、医療機関を受診しましょう。医師に相談した場合、カウンセリングや心理療法、また必要に応じて頭痛や睡眠改善を促す薬物療法が行われることがあります。七月病は五月病と同様、医学的には適応障害やうつ病と診断されることが多く、早期の対処が重要です。
もし、同僚や家族に七月病の症状がみられる人がいたら、無理に励ましたりアドバイスをしたりするのではなく、まずは丁寧に話を聞くことが大切です。共感し、理解を示すことで、相手のストレスを軽減する手助けができるでしょう。
(Hint-Pot編集部)