Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

温度差による体の不調…寒暖差疲労かも? 症状緩和の対策とセルフケアを医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

教えてくれた人:久手堅 司

痛みで頭を抱える女性(写真はイメージ)【写真:写真AC】
痛みで頭を抱える女性(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 今年は暖冬といわれますが、常に気温が高いとは限りません。日中は暖かくても朝晩は大きく冷え込んだり、ポカポカ陽気から一転、翌日は真冬の寒さになったり。激しい気温のアップダウンが続き、なんとなく不調を感じる「寒暖差疲労」に悩む人が増えているようです。東京都内で寒暖差疲労外来を行う「せたがや内科・神経内科クリニック」の久手堅(くでけん)司院長に、寒暖差疲労が起こる原因や起きやすい人、対策方法など詳しい話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

寒暖差疲労とはどんなもの? 温度差の目安とは

――「寒暖差疲労」とは、どういったものなのでしょうか。今年の冬も起こりやすいものなのでしょうか。

「寒暖差とは温度差のことですが、この温度差によってさまざまな体の不調が出ることを『寒暖差疲労』と呼んでいます。そもそも人間の体は、自律神経によって自動で体温調節を行っています。具体的には、気温が高くなると汗を出して体温を下げ、寒くなると血管を縮めて体温を逃がさないようにしているのですが、当然、気温差が小さいほうが人間の体は楽なのです。

 しかし今年の冬は、2月でも東京では最高気温が20度近く上がった日の最低気温が一桁台前半のこともあり、一日の中でも気温差が大きくなっています。そして、それが短期間のうちに何度も繰り返されることによって、自律神経のバランスを崩し、不調を感じる。これを『寒暖差疲労』と呼んでいます」

――寒暖差疲労になりやすい温度差の目安はありますか。

「温度差には3パターンがあって、一日の最高気温と最低気温の温度差、1週間ぐらいの少し長めのスパンでの温度差、そして室内外の温度差です。これらの温度差が大きくなればなるほど不調になりやすくなるのですが、私自身、その差は『7度以上』を目安にしています」

倦怠感、肩こり、めまい…寒暖差疲労で起こる具体的な不調

――寒暖差疲労になると、具体的にどのような不調が起こるのでしょうか。

「全身の倦怠感、だるさを訴える方がほとんどで、全体の8割ぐらいです。ほかにも、疲れが取れない、肩こりやめまい、頭痛、気分の浮き沈みや不安、動悸、関節の痛みなど、一見すると時期的に花粉症や風邪の症状と似ていて判別が難しいですが、内臓の不調や便秘なども症状として現れやすいようです」

――さきほど「自律神経のバランスを崩す」というお話がありましたが、自律神経失調症とは違うのでしょうか。

「自律神経失調症というのは、一般的に動悸や頭痛、めまいなどさまざまな症状があるのですが、それら一つひとつを専門医の診察を受けて、すべて問題がないと判断されたうえで、初めて疑われるものです。自律神経の乱れ以外には、症状の説明ができないということです。

 たとえば、40~50代の女性であれば、症状の一つひとつに関して問題ないという専門医の判断があったうえで、更年期の症状である可能性もありますので、婦人科医の診察を受けていただいて……というように、患者さんの性別や年齢、症状に応じて、病気の可能性を調べていき、不調の原因がわからないというときに判断されるので、症状は似ていますが違うものです」