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子どもの車内放置による熱中症事故に注意 エアコンを切った車の温度変化をJAFが検証
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夏になると、さまざまな場所で重篤な熱中症の事案が発生します。とくに目にするのが、子どもを車の中に置き去りしたことによる熱中症事故です。真夏の車内は灼熱になります。一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は、車内での熱中症事故が多いことから、長時間駐車した際の車内の温度と暑さ指数を計測。どれだけ危険な環境なのか、その結果を公開しました。
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送迎用バスとミニバンで車内温度と暑さ指数を計測
毎年のように起きている、子どもの車内放置事故。各地域や関係機関は、子どもを車内に残したまま離れないよう注意を呼びかけています。
こうした痛ましい事故は大きな社会問題となり、2023年4月からは幼稚園や保育園の送迎用バスなどへ安全装置を取りつけることが義務化されました。子どもは体温調整が未発達で、また高齢者は汗をかく機能が低く、真夏の車内ではとくに注意が必要です。
JAFは、天候が晴れのち曇りで気温が30度を超える真夏日に、長時間駐車した際の車内温度と暑さ指数(WBGT)を計測。熱中症の危険性を検証しました。暑さ指数とは気温、湿度、輻射熱などを総合的に判断した数値。熱中症を予防することを目的として導入された指標で、単位は気温と同じく摂氏で示されます。
テスト車両には、送迎用のバスとミニバンを使用。車両を南向きに配置し、車内温度とダッシュボードの温度を計測しました。
2つの車両のエアコン停止時から車内の温度を測定したところ、車内空間のサイズによる大きな差は見られませんでした。送迎用バス、ミニバンともにわずか1時間後には40度を超え、3時間後には48度に。
ダッシュボードには差があり、送迎バスは1時間で50度近い温度まで上昇。3時間後には57.8度に。一方、ミニバンは送迎バスと比べフロントガラスの角度が浅く、より直射日光が当たっていたため、2時間半後には60度を超えました。
暑さ指数は検証開始から30分経つ前に「厳重警戒」レベルに
熱中症の危険度を示す暑さ指数は、開始時はそれぞれ18度前後で「ほぼ安全」。しかし、実験開始後わずか3分で21度以上の「注意」レベルに上昇し、約20分後には28度を超え「厳重警戒」レベルに。そして、40分を過ぎた頃には31度以上の「危険」レベルに達しました。
日本気象協会の気象予報士・久保智子さんによると、今年の7月から9月の気温は全国的に平年よりも高いことが予想されています。観測史上最も暑くなった昨年に匹敵する猛暑になる可能性も。さらに、「残暑も厳しくなりそう」とのことです。
小さい子どもや高齢者だけでなく、ペットも車内に残すと熱中症になる危険性があります。少しの時間でも大切な家族を車内に残さないよう、確認を徹底しましょう。また、車に水分やタオルなどを用意し、長時間の運転は避けてこまめに休憩を取ることも大切です。
(Hint-Pot編集部)