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仕事・人生

大学生で妊娠発覚 子育てもキャリアも諦めない 4児のママが月3万円の業務委託から取締役にまで抜擢されたワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

大切なものを犠牲にする働き方はしたくない

 学生結婚をした4児のママが、月額3万円の業務委託からスタートし、企業の取締役に――。

 それは一見、華やかなシンデレラストーリーのように見えるかもしれません。けれど、そこに至るまでの道のりは、平坦ではなく波乱万丈でした。毛利さんはひたすら、できる限りの努力を実直に積み重ね、壁にぶつかっては次なる道を探り、切り開いては進んできたのです。

 とくに女性の場合は、キャリアと子育てを両立しようとすると、壁にぶつかるケースが少なくありません。そんなとき、いつも毛利さんが大切にしてきたのは「引き算思考」だったといいます。

「私も何度も波があって(笑)。そのたびに働き方を変えるなどしながら、なんとか次の道を探しては進んできた状態です。ただ、どんなときも、自立していることと家庭を大事にすることに焦点を当ててきました。できていないことはいっぱいありますが、自分なりにその2つをなんとか両立するために、どう動くべきかを決めてきました。あれもこれも欲しい! ではなく、自分にはこれがあれば幸せというぶれない芯を持ち、そこから『引き算』で考えるようにしています」

 目的地を定めてどう動くべきかを決めても、もしかしたら迷ってしまって焦るときもあるかもしれません。つい効率良く進める方法を考えてしまいがちですが、毛利さんは「実直に一段一段、階段を上るのが一番早いのかなと思うようになりました。自分が大事にしたいことをしっかり見据えて、その方向に向けて少しずつでも、勉強しながら進んでいく。そうすることで気持ちも前向きになれます」とアドバイスします。

 最後に、自らも4人の子どもの母である毛利さんから、働くママたちにメッセージをいただきました。

「子どもが病気になったときなどに、『働いていていいのかな?』と悩むこともあると思います。でも、子どもは必ず大きくなっていきますから。長い目で見て、将来、自分がどうありたいかという気持ちも大事にしてほしいです。そして、ときには人に頼ることも大切。私自身も両立の大変さは身に染みているので、一緒に働いているメンバーで大変そうな方がいたら、積極的に声をかけるように心がけてきました。そうすると今度は、私が困っているときに誰かが助けてくださることも多い。そうやって、みんながお互いを助け合って行けばきっと、もっと働きやすくなると思うんです」

 そんな毛利さんは取締役を6月で退任し、フリーで活動を始めました。現状に満足せず、また新たな道を切り開こうとしています。

◇毛利優子(もうり・ゆうこ)
1984年11月13日、大阪府生まれ。立教大学在学中に長男を出産。新卒で大手監査法人に就職後、2011年にITベンチャー企業に転職。働くママ向けの比較情報サイト「働くママプラス」を立ち上げた。2014年の独立後は、書籍「働きたいママの就活マニュアル─働きたいけど働けないモヤモヤを解消!」(自由国民社刊)、「これで解決。働くママが必ず悩む36のこと」(日本実業出版社刊)を上梓したほか、“働くママ”のための講演や研修など行い、活躍。2016年より、Piece to Peaceで、プロ人材として業務委託契約を結び、「キャリーミー」の立ち上げに携わる。2022年、同社取締役CMOに就任。2024年6月に退任し、現在はフリーで活動中。プライベートでは、長男(高3)、長女(高1)、次女(中3)、三女(小1)と4人を育てる母。

(Hint-Pot編集部)