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「便利な日本が恋しくなるのは言うまでもありません」 フランスのゴミ事情に驚きの連続 日本人女性が明かす不便な点とは

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

車がないとけっこう困る、田舎でのリサイクル

 リサイクルボックスには、一般的なプラスチックボトルや容器、紙パック、雑誌や新聞などの紙、メタル製品などを入れることができます。ここで驚きなのが、水を節約するために、容器を洗わずに捨ててもかまわないこと。日本で培った、絶対に洗って乾かしてから入れるという思考が染みついているので、これにはびっくりでした。

 また、オンラインショッピングなどで出た段ボールや大きめの資源ゴミは、専用の回収場所に出しに行かなければなりません。ちょっとした小さな段ボールを折りたたんで入れることはOKですが、少しでも大きいと回収してくれないと聞くので、この選別には気を使います。また、フタが半開きになるほど入っていると持っていってくれないことも。

 大きめの資源ゴミの回収場所は車でないと行けない場所にあるため、車を確保するのもひと苦労。その利用方法も、まず登録申請してカードを発行してもらい、1年16回までは無料、それ以降は1回につき5ユーロ(約840円)といったシステムが導入されています。

 ほかにも、ガラス瓶はリサイクルのゴミボックスに入れることができず、フードウエスト同様、街中のガラス瓶専用の回収場所に持っていく必要があります。フランスでは、ワインやビールなどアルコール飲料など以外にも、マヨネーズやトマトソース、ヨーグルトやデザートなどの容器として、ガラスの容器が日常的に使われています。

 そのため、普通に暮らしていても空の容器がすぐに溜まってしまうので、少々大変です。車に何個ものバッグを積んで一気に捨てている人をよく見かけますが、私のように車を持っていないと、自分の運べる量をこまめに、せっせと出しに行かなければなりません。

 また、着古した衣類や靴、リネン類などについては、専用の回収&寄付ボックスが街中に設置してあります。回収ボックスには捨てたいものを入れることもできますし、状態が良くリサイクルできるものを入れてもかまいません。状態のいいものは回収業者が選別してリサイクル、という仕組みのようです。

厳しいゴミの回収回数

サイズが違う一般ゴミのオレンジボックス【写真:Moyo】
サイズが違う一般ゴミのオレンジボックス【写真:Moyo】

 さて、気になるゴミの回収回数についてです。パリのような大都市はこまめに来てくれるようですが、私が住んでいる田舎の場合、一般ゴミは週1回、リサイクルはなんと2週間に1回というペースです。

 また、ゴミ収集は基本料金+変動料金のサブスクリプション制。年額制で基本料金39ユーロ(約6500円)に加えて、年12回まで回収してくれる回収料金を支払います(前述の配布されるゴミ箱の大きさによって金額も変わります。一番小さいサイズが80リットルで70ユーロ(約1万1700円))。

 つまり、デフォルトとして一般ゴミをひと月に1回出す算出方法なのです。それ以降の回収は1回につき4ユーロ(約670円)~などに設定されているので、ひと月に2~3回出そうとすると、年間でけっこう大きな額になります。

 このシステムは、これまで出した回数を自分でも数えておかないといけないのが少し面倒です。カウントするか、月に1回の回収で我慢して、ゴミを家の中もしくは自宅外のゴミ箱の中に長い間溜めておくかの二択に悩まされます。後者を常に選びたいですが、とくに真夏はゴミ箱にいろいろ入れて外に放置すると虫が寄ってきますし、臭いもやはり気になります。

 各国の取り組みになるほどと思うこともありつつ、やはり毎週確実にゴミを回収してくれて、幅広く回収してくれる便利な日本が恋しくなるのは言うまでもありません。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。