Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

栄養ドリンクでよく聞く「タウリン」の効果って何? 健康寿命に好影響と近年注目 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

時代を経てもなお、多様な働きが発見され続けている

 疲労回復や滋養強壮の効果が有名ですが、長い歴史のなかで、次々と新たな効果が発見され続けています。

 体内の毒素の解毒や代謝を管理する臓器である肝臓の細胞を保護し、肝機能を向上させる効果は古くから有名です。世界でもタウリン摂取量が多い地域では、心血管疾患の発生率が低いことが示唆されています。

 血圧を調節して血管の柔軟性を保つ効果もあるので、動脈硬化や高血圧のリスクを低減、心筋梗塞や脳卒中の予防につながることも期待できます。海に囲まれ、海産物を多く食べる日本人が世界的に見ても長寿である理由のひとつは、タウリンだと推測する研究者もいます。

 2023年6月、アメリカでタウリンが細胞のアンチエイジングに寄与することが発見され、大きな話題となりました。タウリンは、体内の“サビ”(フリーラジカル、プラスとマイナスの電子が対になっていない分子。細胞やDNAにダメージを与える)を中和して細胞の酸化ダメージを防ぐことで、老化の進行を遅らせる可能性があることがわかったのです。

 タウリンの補給は、認知機能の改善や身体機能の維持に役立つことが示されています。この7月には、高齢者を対象とした研究で、加齢とともに衰える筋力の低下をゆるやかにすることが、日本におけるヒトの検証実験で明らかにされました。筋肉のパフォーマンスと回復力を向上させることは有名でしたが、筋肉の収縮と成長を助け、加齢に伴う筋力低下(サルコペニア)を防ぐ効果も期待され始めました。

 また、白血球の機能をサポートし、体内の感染症や感染による炎症反応を抑えることで免疫力の維持にも役立つと見込まれています。最近は新型コロナウイルスやインフルエンザ、手足口病なども大流行しているため、積極的に摂っていきたい栄養素のひとつです。

おすすめの食べ方は汁物やカレー

内科医・血液専門医の久住英二医師
内科医・血液専門医の久住英二医師

 タウリンは水に溶けやすいアミノ酸なので、汁ごと摂れる鍋物やスープなどに調理するといいでしょう。魚介類と塩分を加えた汁物を食事に取り入れるのは、夏の熱中症対策にも感染症対策にもおすすめです。

 シーフードカレーにするのも、タウリンを余さず摂れますね。

◇久住英二(くすみ・えいじ)
内科医・血液専門医。1999年、新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

(Hint-Pot編集部)