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熱中症予防に大切な栄養成分とは 食事のポイントを栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

夏はこまめな水分補給を(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏はこまめな水分補給を(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 夏は食欲が低下しやすく、食生活のリズムが崩れて栄養も偏りがちです。熱中症を防ぐには水分と塩分を適度に補給することが大切だといわれていますが、単に飲み物と塩気が強いものを摂取していれば良いということではありません。暑さに負けず元気に過ごすためには、どのような食生活を心がけたら良いのでしょうか? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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こまめな水分、塩分補給のほかにビタミン類も積極的に

 厳しい暑さが続きます。こまめな水分補給や、汗をかいたら塩分補給はもちろんのこと、日々の食事もぜひ栄養バランスを考えていきましょう。暑さでバテないためにも、夏の食卓はとくに次の栄養成分を意識してください。

○ビタミンB1
 ビタミンB1は、糖質が分解されてエネルギーになる際に助ける補酵素の役目をします。ビタミンB1が不足すると、エネルギーが作れずに疲れやすい体に。食べやすいそうめんだけ、冷たいデザート類だけで食事を済ませていると、エネルギー源となる糖質は摂取できていても、エネルギーを作り出せずに体はバテてしまいます。明治時代に大流行した脚気(江戸患い)はビタミンB1の欠乏症です。インスタント食品やスナック菓子を常食するなど、栄養バランスの悪い食事を続けていれば、現在でも脚気になることはあり得ます。

 疲労回復や熱中症予防のためにも、ビタミンB1はしっかりと摂取しましょう。多く含む食材としては、豚肉やウナギ、大豆やインゲンなどの豆類、玄米など。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、玄米は精白米よりもビタミンB1が約5倍も多くなります。ビタミンB1は胚芽に多く含まれているためです。主食を玄米にしてみても良いでしょう。滋養強壮効果が期待できるニンニク、タマネギ、ネギ、ニラなどのアリシンを多く含む食材はビタミンB1の吸収率を高めるといわれています。一緒にとると良いでしょう。

抗酸化作用が期待できるビタミンも

カラフルな野菜でビタミンをたっぷりと(写真はイメージ)【写真:写真AC】
カラフルな野菜でビタミンをたっぷりと(写真はイメージ)【写真:写真AC】

○ビタミンACE(エース)
 これらのビタミンには抗酸化作用があり、活性酸素の抑制が期待できる栄養素です。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、体の免疫機能を高めることが期待されています。多く含む食材としては、レバーやウナギ、ホウレン草、ニンジン、カボチャ、小松菜などの緑黄色野菜です。

 ビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせません。皮膚や筋肉、血管、骨などを強化します。多く含む食材としては、パプリカやブロッコリー、レモン、キウイフルーツ、イチゴなど。また、ビタミンEは細胞膜の酸化を防ぐ「老化予防のビタミン」とも呼ばれ、アーモンドや落花生などのナッツ類、カボチャやモロヘイヤ、煎茶などにたくさん含まれています。

 ビタミンACEは、一緒にとると相乗効果が期待できます。とくに紫外線が気になる夏場は活性酸素が生成されやすく、疲労や不調の原因にも。何を食べて良いか迷ったときは赤色、緑色、黄色などさまざまな色の野菜を選ぶと良いでしょう。