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子どもの読書感想文 元カリスマ書店員が「難しく考える必要はない」と言う理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・鍬田 美穂

子どもの好みや年代に合った読書体験を

教員や生徒がいっせいに好きな本を読む「朝読」をしている学校も(写真はイメージ)【写真:写真AC】
教員や生徒がいっせいに好きな本を読む「朝読」をしている学校も(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 子どもが家で本を読まなくても、増山さんは「あまり心配しなくてもいいのでは?」と考えているそう。昨今は小学校などで毎朝始業前10分ほど、好きな本を読む読書推進活動「朝読(あさどく)」を実施している学校も多く、「実際は親から見えている以上に、本を読んでいるはず」と話します。

「小学校、中学校の年代ごとに、どういった読書体験をするかは大事だと思います。中学生になると、少し背伸びしたものを読みたくなる年代。図書室や親の本棚などで難しそうな本を手に取り、辞書を引きながら読み進める体験をするのはいいですね」

 増山さん自身は、たとえば田中芳樹作のSF小説「銀河英雄伝説」を読みながら、「黎明ってなんだろう?」などを調べていたそう。さらに「中二病じゃないけど、背伸びして『賢くなりたい』って思ったりしていました。その年頃特有のそういう感覚は、悪くないですよね(笑)」と明かします。

 そうして出合った言葉は、語彙力を広げてくれます。また、辞書で調べながらでも読み進めたいと思える作品は、貴重な読書体験に。苦手なタイプの本を読まなければならなくなったときにも、そうした経験が“本を読み切る”訓練になるかもしれません。

“自分で選んだ本”や脳内キャスティングの楽しさも

「書店の楽しみ方でもお話ししましたが、“自分で選んだ本が読んだら楽しい”という成功体験は、お子さんが本を好きになる、きっかけにもなるはずです。あと、本の楽しみ方のひとつは、頭の中で自由にイマジネーションを広げられることだと思います」と話す増山さん。

 人気作品は「実写化するとき、どんな俳優さんに演じてもらいたいか?」が、ファンの間でよく話題になります。増山さんの楽しみ方として「ちょっと苦手な感じだけど、読まなきゃいけない本は、登場人物を全員イケメンにして脳内再生しながら読むことも(笑)」と明かしました。

 さらに増山さんが「監督・脚本・キャスティング、すべてを脳内で自由に考えて楽しめるのが本の良さですよね」と言うように、お気に入りの書籍や漫画を脳内で“実写化”する人は少なくありません。親子で同じ作品を読んで、脳内キャスティングを話し合うのも、楽しい話題のひとつになりそうです。

 子どもと一緒に書店へ行き、自分で“おもしろそう”と思う本をじっくり選ばせてみることで、親子で本を楽しむ習慣ができるかもしれませんね。

(Hint-Pot編集部・鍬田 美穂)