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花火を見上げるおばあさん 撮影の背景に「涙腺崩壊してしまう」の声 手に持っていたものとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

おばあさんが見上げていた花火。少し離れた場所から撮影した美しい一枚が話題に【写真提供:Tatsuki Ito(@ta2funk)さん】
おばあさんが見上げていた花火。少し離れた場所から撮影した美しい一枚が話題に【写真提供:Tatsuki Ito(@ta2funk)さん】

 夏の風物詩といえば「花火」。夜空を彩る花火を家族や恋人、友人など大切な人と一緒に楽しんで、思い出に刻む人も多いでしょう。今回ご紹介するのは、写真家が長良川花火大会(岐阜県)で偶然出会ったおばあさんを撮影した一枚です。花火を見上げるおばあさんの手元にあったものとは。撮影者のTatsuki Ito(@ta2funk)さんに詳しいお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

撮影場所を探していたら遭遇 家族の写真を持って花火を鑑賞するおばあさん

 ブロック塀のそばで、夜空に浮かぶ大輪の花火を見上げているおばあさん。街灯の下にひとりぽつんと佇む姿と、夜空を煌々と彩る花火のコントラストが、なんともいえない独特の風情を感じさせます。どこか寂しそうな、それでいて美しさも盛り込まれた一枚です。

 そんな情緒あふれる写真を撮影したのは、写真家のTatsukiさん。普段は、スチール撮影やドローン空撮などをメインに活動しています。

 この日は、独創的な花火の写真を撮るため長良川花火大会を訪れていました。Tatsukiさんはベストショットを撮影するため、事前にリサーチした場所へ足を運びましたが花火がまったく見えず、急いで別の場所に移動したそう。

 その途中で偶然、見かけたのが写真のおばあさんです。すれ違いざま、Tatsukiさんはおばあさんが写真を持っていることに気づきました。その瞬間、「ここで撮りたい」と直感が働き、撮影許可を得たそうです。

 おばあさんが持っていたのは、亡き夫の写真でした。

「見せてあげたかっただけ」

 おばあさんの言葉を聞いて、Tatsukiさんは撮影中、ずっと涙がこぼれ落ちそうだったといいます。おばあさんは背中を向けているため、手元の遺影を確認することはできませんが、大好きな夫に美しい花火を見せてあげたかったのでしょう。

 Tatsukiさんは撮影の経緯とともに、「天国のおじいちゃんと一緒に花火を見ていたのかな? と思うと胸が締めつけられた。行って良かった」とコメントを添え、写真をX(ツイッター)に投稿。すると、9.7万件もの“いいね”が集まりました。

 リプライ(返信)には「おばあさんの優しさと愛情と寂しさが伝わってくるのが泣ける」「もう読んでいて胸が熱くなりポロポロ泣いてしまいました とっても素敵な一枚」「胸にグッと来ますね」「私まで涙腺崩壊してしまうやろ~」など、たくさんのコメントが寄せられています。

撮影後に写真をプレゼント

夜空に打ち上げられた花火を、ひとりひっそりと見物するおばあさん【写真提供:Tatsuki Ito(@ta2funk)さん】
夜空に打ち上げられた花火を、ひとりひっそりと見物するおばあさん【写真提供:Tatsuki Ito(@ta2funk)さん】

 撮影後もおばあさんはその場からほとんど動くことなく、じっと花火を見つめていたそう。時折、少し離れた場所に立っていた娘さんと、花火の美しさについて会話をしていたとのことです。

 おばあさんは、大好きな家族と特別な時間を過ごしていたのかもしれませんね。ちなみにTatsukiさんは後日、写真をプリントしておばあさんにプレゼントしたそうです。

「とても喜んでくれて、背中の曲がった自分の姿に笑っていました。亡くなったおじいさんも写真が趣味だったと話してくれました。僕が撮りながら泣きそうになっていたと伝えたら『あなたはいい人だね。来年もここから撮りにきてね』と言ってくださいました」

 Tatsukiさんは、そんなおばあさんの優しさが詰まった写真のほかにも、幻想的で美しい花火や、趣のある岐阜城と月を収めた写真などを自身のインスタグラムアカウント(ta2funk)やウェブサイトで公開しています。思わず息をのむほど、美しい写真ばかりです。

(Hint-Pot編集部)