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「暑いときにスタミナ食」といわれる理由 夏の献立に取り入れたい栄養とは 栄養士に聞いた
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暑くなると、よく登場するのがスタミナをつけるための食べ物です。食べると暑さで消耗した体が回復したり、力がついたりするなど、なんとなくイメージは湧きますが、実際のところどのような栄養を含んだ食事を指すのでしょうか? まだまだ猛暑が続くなか、知っているようで知らないスタミナ食について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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スタミナとは? つけるためにはどんな栄養が必要?
そもそも「スタミナ」は、英語で「持久力」や「耐久力」を意味する言葉です。日常的には体力や気力を維持するための力を指し、その力をサポートするための食事を「スタミナ食」と呼びます。とくに夏場は暑さで消耗しやすいため、食からスタミナをつけるための「スタミナ食」と呼ばれるものがたくさん登場しますよね。
暑い時期に元気を出す食べ物といえば、ウナギや焼き肉、ニンニクたっぷりの料理などを思い浮かべる人も多いでしょう。がっつり食べる料理のイメージがありますが、そうとも言い切れません。スタミナ食に含まれる栄養素に特別な決まりはありませんが、暑さで弱った体を回復する観点から考えると、糖質、たんぱく質、ビタミンB群(B1、B2、B6)、アリシン、鉄をバランス良く含むものが理想です。
暑さに負けないスタミナ食に良い栄養成分5つを解説
暑さに負けないスタミナ食にふさわしい栄養成分5つについて、それぞれの特徴や働き、代表的な食品を解説していきます。
○糖質
ごはん、パン、麺など主食となるものに多く含まれる糖質は、たんぱく質や脂質に比べ、早くエネルギーに変わります。そのため、主食をしっかりと食べることがスタミナをつけることにつながるといえるでしょう。糖質をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要です。ビタミンB1については、後述します。
○たんぱく質
メインのおかずになる肉や魚、大豆などに多く含まれるたんぱく質は、筋肉をはじめホルモンや酵素を作り、あらゆる細胞の原料となります。体作りには欠かせない栄養素です。糖質や脂質が不足している場合は、エネルギー源として使われます。
○ビタミンB群(B1、B2、B6)
ビタミンB群のなかでもB1、B2、B6は、エネルギー源といわれる三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)をエネルギーへ変えるときに必要な栄養素です。主にビタミンB1は糖質、ビタミンB2は脂質、ビタミンB6はたんぱく質のエネルギー代謝の補酵素として働きます。暑さで体力が消耗したときは、エネルギー供給を効率的に行うことが大切です。これらのB群が不足するとエネルギーに変えることができなくなるため、スタミナが切れて疲労の原因に。ビタミンB1は玄米や胚芽精米、豚肉、ウナギに、ビタミンB2はレバーやアーモンド、ウナギに、ビタミンB6はレバー、マグロ、ニンニクなどに多く含まれています。
○アリシン
ビタミンB1の吸収率をアップするのがアリシンです。ニンニクやニラ、タマネギ、長ネギなどに含まれています。ニンニクをたっぷりきかせた豚肉炒めなどはスタミナ食の代表ですが、豚しゃぶにしてニラダレなどで食べても良いでしょう。豆腐にもビタミンB1は含まれているので、冷ややっこにしてニラや長ネギをトッピングしても、あっさりとして食べやすいです。
○鉄
貧血予防に欠かせない鉄。鉄が不足し酸素が全身にめぐらなければ、エネルギー不足にもつながります。肉であればレバー、魚であれば血合い、野菜であれば小松菜などの青菜に多く含まれます。吸収率の観点でいえば肉や魚が良いですが、ビタミンCは鉄の吸収率を上げるため、肉や魚と一緒に野菜や果実も一緒にとると良いでしょう。
8月も終盤。うだるような暑い日が続き、疲れが溜まってくる時期です。スタミナをつけるため、糖質、たんぱく質、ビタミンB群、アリシン、鉄などの栄養素を含む食べ物を、日々の献立にバランス良く取り入れていきましょう。
(Hint-Pot編集部)