Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

海外ニュース

洗濯1回に3時間かかることも イギリスの洗濯機事情に驚いた日本人女性 日本の技術に感動したワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

日本の洗濯機との操作性の違いに戸惑うことも…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
日本の洗濯機との操作性の違いに戸惑うことも…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 日常生活で欠かせない家事のひとつである洗濯。日本の洗濯機は進化が著しく、シンプルな操作性や洗浄力の高さなど、世界に誇れる機能が詰まっています。ひょんなことからイギリスに移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第41回は、イギリスの難解な洗濯機についてです。

 ◇ ◇ ◇

やけに多い洗濯メニュー

 イギリスのホームステイ先では、ホストファミリーが洗濯をしてくれていたのですが、なかなか洗濯をしてもらえず苦労したことを前回お話ししました。その後、イギリスでの暮らしが長くなるにつれ、こちらの洗濯機事情を知って日本との違いに驚きました。

 まず、こちらでは横型のドラム式の洗濯機が一般的で、少量の水でたたき洗い、30~40度のお湯で洗うのがデフォルトです。水の温度はメニューによって20度から90度まで設定できます。設置場所もユニークで、キッチンに置かれていることが多く、私が住んだことのある5軒のうち、キッチン以外に置かれていたのはたった1軒でした(イギリスの賃貸物件は、基本的に家電が備えつけられています)。

 排水パイプがキッチンとつながっていることが多いので、家によってはキッチンのシンクに洗濯機からの排水が上がってくることもあります。洗いたい食器をシンクに放置していたり、同時にお皿洗いをしているときはけっこう面倒です。

 さらに、やたらとメニュー数があり、慣れるまで大変です。日本の洗濯機は、標準やドライ(おしゃれ着)、時短(スピード)、大物洗い(毛布)など大きく4つの基本コースに分けられていて、どれも30分~1時間程度で仕上がるのが一般的。

 そして、オプションですすぎ回数や脱水時間の設定などができるようになっていることが多いでしょう。イギリスの場合は、どの洗濯機にもおそらく15くらいのメニュー数があると思います。基本メニューは以下のようなものです。

・Cottons:コットンモード
・Synthetics:化学繊維モード
・Quick:時短モード
・Cold:冷水モード
・Delicate:ウールやシルク、ジーンズ専用のモードがそれぞれ

 上2つのモードでかかる時間は、だいたい2時間30分から3時間。時短モードでも1時間以上はかかります。コットンの洋服を洗うときはメニュー通りに「コットンモード」を選べばいいのでしょうが、日本の洗濯機を使う感覚だと、さすがに3時間はかかりすぎだろうという気持ちに。いったいどんな様子で洗濯物が出てくるのかわからない……と、勝手が違いすぎて不安になります。そのため、どのメニューで洗濯すればいいのか、洗濯ネットに入れるべきか、どんな洗濯アイテムが必要なのかもまったくわからなくて、頻繁に人に聞いたりネットで調べたりしていました。

 しかも、のちのちわかったのですが、この表示時間はサバを読んでいます。たとえば、洗濯開始時に「1時間30分」と表示されていても、その時間通りに終わることはありません。残り「1分」と表示されてから、5~15分くらい長めに動いてようやく終わる、という感じでした。外出の出発時間ギリギリで洗濯物を回していたときなどは、よくこの罠にかかり、家を出るのが遅れてしまい焦ったこともあります。

 こういった事実に気づいてからどんな家に引っ越しても、とにかく最適な洗濯メニューを編み出すのにひと苦労。洗濯機が変われば、メニューも設定の仕方も全部変わります。なので、一度「これだ!」と思ったメニューを見つけても、引っ越せばまたゼロから試行錯誤が始まるのです。ホストファミリーが実際にどのようなメニューで洗っていたかは定かではありませんが、洗濯機にまつわる苦労をしみじみ感じました。