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健康や美容のため「野菜を食べましょう」といわれるワケ 野菜の日に栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

栄養豊富な野菜(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
栄養豊富な野菜(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 健康や美容のために「野菜を食べましょう」といいます。そもそもなぜ、野菜が良いといわれているのでしょうか。8月31日は「野菜の日」。記念日にちなみ、いまさら聞けない「なぜ野菜を食べると良いのか」の理由や栄養を無駄なく摂取するコツを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

野菜には生きるのに必要な栄養が含まれている

 私たちは生きていくうえで、さまざまな栄養成分を食事から摂取する必要があります。野菜は水分が多く、低エネルギーではありますが、健康を保つために必要不可欠なビタミンやミネラルが豊富です。腸内環境を整える食物繊維のほか、活性酸素を除去し、老化や生活習慣病予防が期待できる機能性成分(フィトケミカル)も多く含まれる側面が。そのことから、野菜を食べることが推奨されていると考えます。

 とくにビタミンACEは免疫機能を高め、活性酸素を除去するなど抗酸化作用が期待されている栄養素です。ニンジンやカボチャ、小松菜などの緑黄色野菜に多く含まれます。また、体内の余分な水分や塩分を体外に出し、むくみを予防するカリウムはホウレン草やブロッコリーに。骨や歯の形成に必要なカルシウムはチンゲン菜や小松菜、血液を作るのに欠かせない鉄を含む野菜には小松菜やホウレン草などが挙げられます。

 機能性成分は、ナスや紫キャベツなどのアントシアニン、タマネギのケルセチン、トマトのリコピン、赤パプリカのカプサンチン、緑黄色野菜のβカロテンなどが有名ですね。栄養素と同じように、私たちの健康の維持と増進のために働きます。

 これらの栄養素が不足してしまうと、エネルギーを容易に作れず、免疫機能が低下して風邪をひきやすくなったり、疲れぎみになったり、さまざまな体の不調につながる原因になります。

「走り」「盛り」「名残」の旬を味わう

 成人が1日に食べる野菜の目標値は350グラム、両手に山盛りいっぱいの量です。野菜は生で食べられるものが多くありますが、焼いたり煮たり、揚げたりと多彩な調理方法でおいしく食べられます。野菜の栄養を無駄なく、おいしく摂取するためには、調理方法や味つけに工夫を凝らすことが重要です。

 たとえば、ビタミンCは熱に弱いため生で食べることをおすすめしますが、サラダではかさが増えて量を食べられない場合、スムージーとして楽しむのも良いでしょう。一方で、脂溶性ビタミンであるビタミンAやEは、油と一緒にとることで吸収率が向上するといわれています。ドレッシングやマヨネーズで和えたり、バターやオイルで炒めたりしても良いでしょう。おひたしにはアマニ油やエゴマ油、オリーブオイルなど質の良い油をかけても。それぞれの栄養価を最大限に引き出して食べましょう。

 また、旬の食べ物には、たくさん栄養が詰まっているといわれています。日本では旬を「走り」「盛り」「名残」の3つに分け、それぞれの旬の味わいから季節の移り変わりを感じる食文化が根強くありました。出始めのものが走り、流通量も増えて最も味が良いのが盛り、そしてまもなく収穫が終わりになるものが名残です。

 今は栽培方法が進歩し、お店に野菜が通年出回るので旬を意識することは少なくなりました。しかし、野菜をおいしく食べるためには、これを機に旬を意識するのも良いかもしれません。

 去り行く夏野菜の名残を惜しみながら、秋の味覚の走りを楽しむのもこの季節ならでは。健康や美容、心も豊かにするために食生活を見直し、日々の食事に野菜を取り入れてみましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾